2016年8月12日金曜日

死ぬなハト!レコードに火をつけろ!崩れ落ちるゴジラに北の荒海が重なり路上のジャズに打ちのめされた夜。


▲ダンボール・バット企画ライヴ!
新作Tシャツ先行販売予定!
詳細はブログの下に。


  午後のクソ暑い日差しの照りつける中野駅前のロータリー。バス乗り場でバスを待ってたら、さっきまでそこにバスが止っていたであろう場所に20cmほどの小さな黒い水たまりが出来ていて、その水たまりを囲んで2,3羽のハトがその水をゴクゴク飲んでいた。恐らくバスから垂れ落ちた冷房の水が溜まったものだろう。他に水の飲めるような場所はないのだろうか?必死で水を飲むハトの姿を見ていたら、野生のたくましさに心打たれる反面、なんだか切なくなってきた。ハトよ、このコンクリート・ジャングルの過酷な夏をなんとか生き抜いてくれ。オレももう少し生きてみるから、と、セミの抜け殻のような男は思うのであった。オレの手には中野中央図書館で今借りてきたばかりの片岡義男の「10セントの意識革命」他2冊。
 フンっ。革命か。革命などという勇ましい熟語には縁遠い男であった。

 「死者たちが苦しさのあまり地の蓋をもちあげたりする季節にわたしはKOOCHI市へ旅行した。盂蘭盆(うらぼん)に父の墓参りをするつもりでこの真夏の地方都市にやってきたのだった」・・・という倉橋由美子のとある短編小説の冒頭の一節が頭をよぎる。暦の上じゃすでに残暑らしいがこれからが夏本番じゃねぇかよ。しかし、去年の地獄の猛暑に比べればここ東京は今のところ今年のほうが幾分「地獄度」が低い気がするが気のせいか?しかし天気予報は明日からまた気温が上がると伝えている。これ以上暑くなるのは勘弁勘弁。いずれにせよ、早く夏が吹き飛んで涼しい秋が来てくれることを切に願う。どっかの家から風に乗って山下達郎の曲が聴こえてくる。

あいかわらず無職のオレ。一応ハローワーク(このハローワークって呼び方があまり好きでない。「職安」(しょくあん)でいいんじゃないのか?なんかちょっと灰色な響きがあの殺伐とした空間には合ってる気がするけどね)に顔を出す。無職!?いや、一応、肩書はアーチストだけどね、社会一般通念からすれば無職ってことになるわけで。いい歳のオッサンが昼間っからブラブラしてって。嗚呼、面倒だね。いいじゃん、肩書通りで。とはいえ、肩書で食えりゃ世話ないわけで。
 オレの友人の中には「個人事業主」って看板出して、音楽活動(おもにライヴやグッズを売ったりして)でなんとか食ってる立派な奴もいる。贅沢しなきゃギリギリだけど食えているらしい。大変らしいけど。見習いたいもんだね。見習えよ、馬鹿。オレなんてどっちつかずでフン切りのつかぬキンギョのウンコみたいな・・・なまぬるいんだよ。もうちょっと音楽でなんとかしようゼっていう根性のカケラもないんだからな。
 受付で番号札をもらいその札と同じ番号が書かれたパソコンの前に座わる。画面をタッチ式のペンでポチポチやりながら「求人」情報を検索する。10分もポチポチやってると右手がだるくなる。オレこんなところで何やってんだろうって思いながらポチポチする。こんな情けない姿、天国の(江戸)アケミ先生にゃ見せられない。周り見渡せば冴えない連中がパソコンの前に座ってみんなおんなじようにポチポチやっている。ああ、「仲間」がこんなにいるんだ、とか思って安心しちゃったりする(笑)。いかんいかん。しかし、中にはどー見てもこのヒト社会復帰無理だよな?っていうダメダメ・オーラを放出してるヤツもけっこういて、それ見てさらに安心する(笑)。いかんいかん。端からみればオレもそんな社会復帰出来なそうな連中の一人に見えているんだろうね。
「他の担当の人に代わってくださいっ!!!!」・・・男の怒号がいきなりオレの背後から沸き上がり一瞬肝を冷やす。職安の窓口のカウンターを挟んで職員とその男の押し問答が始まる。あまりの常軌を逸した男の発狂ぶりに窓口の職員はやがて黙り込んでしまった。「なんで黙っているんですか!?」と、男がさらに詰め寄る。他の職員たちは遠巻きに成り行きを見守ったり見て見ぬふりをしている。ここの「常連」なのだろうか?その男が言うには、あまりに事務的な職員の対応に不満があったような口ぶりだったが、どう見てもそいつが「まともじゃない」のは一目瞭然だった。上下ジャージの装いに、何が入っているのか巨大なバックが足元にふたつ。年齢は30ぐらいだろうか。目が完全にすわっている。結局、10分近く一方的にまくしたてたあと見かねた別の職員が対応し、そいつはおとなしくなった。ここは戦場だろうか?それとも動物園だろうか?なにかの施設?ゴミ溜め?そのどれでもあり、どれでもないのかもしれない。
 そのやりとりを背中越しに聞いてたオレはなんだか余計グッタリしてポチポチする気も失せ灰色の空間を後にしたのであった。
 シゴト、収穫なし。

2016年、ダンボール・バットのさびしい結成30周年。そんな中、せめてもと、うちのリズム隊夫婦が必死こいて新作Tシャツを自宅で只今制作中!!今度の9月17日(土)のダンボール・バット企画のライヴ(詳細ブログの下)に合わせて販売できるようにとがんばっている模様。新作Tシャツの柄は、前回のブログの冒頭でも紹介したが、ダンボール・バットのファンだとおっしゃる漫画家の福沢光成子嬢(雑誌「アックス」などでも時々描いておられます)がボランティア(!)で書き下ろしてくださった。しかも、よく見りゃ、獅子舞はいるし、非常勤メンバー(笑)のコーラス隊まで書き込んである。簡素だがポップでフューチャリスティックでP-FUNKな画風が素晴らしい。ギターのサムソンがキリストみたくなっている(笑)。福沢光成子嬢に心から多謝。寂しい30周年が少しだけ華やぎました。完成お楽しみに。
そして、もう一発。年内間に合うかが微妙な雲行きではあるのだが、シングル・レコードを作ろうかって計画が地味に進行しているのだ。先月の末ぐらいに近所のスタジオにボロ機材持ち込んでとりあえずドラムを録音してきた。シングル・レコードだから、A面B面1曲ずつで2曲・・・いや、実際には時間が余ったので3曲録った。
 なんでまたシングル・レコードかって?実は、ダンボール・バットは過去に2枚作ってるのよ、シングル・レコード。だから今回作るとすれば3枚目。ほら、今、またアナログ・レコードが盛り上がってきてるじゃない?死にかけたカセットテープまで盛り上がって。いい気なもんだよな、世の中なんて。まあ、オレはずーっとレコードを聴き続けてきた人間だから、何を今更?って感じでそんな世の流れを横目で見ていたんだけど、なんかだんだんくやしくなってきてね。ディスクユニオンだのHMVだの行くと、新譜のレコードが壁一面に並んでいたりするわけよ。それもメジャーどころのアーチストより、インディー系のレコードのほうが圧倒的に多い。しかも、海外でなくて国内のインディー系のバンドのレコードが。その光景を見るたびにくやしくて仕方なくってね(笑)。そんで、まあ、30周年の冥途の土産にでもいっちょう作るか?なーんて話になって。
 とはいえ、CD作るのに比べりゃ格段に割高。金ねぇーしなぁ。出してくれるレーベルなんかあるわけないし、カンパしてくれるようなスポンサーもいない。でもまあ、100枚くらいなら前のCDの売り上げの金でなんとか作れるんじゃなかろうか?ってことで、とりあえず、先も見えないまま録音と平行してジャケットなんかの制作を進めている最中なの。
 レコードにする曲は2曲とも最近の曲で、「ロンサム・カウボーイOK?」と「秋は北京で」の予定。「ロンサム・・・」は、初期のニナ・ハーゲン聴いてて浮かんだ曲でニューウェイヴ前夜のドライなハードロックの心意気。片岡義男の初期名短編集「ロンサム・カウボーイ」へのオマージュにもなっている。対する「秋は北京で」はマイナー調のディスコ歌謡スタイルで、お手本にしたのは、ブロンディやジャパンやスパークスのジョルジオ・モロダーが手掛けたミュンヘン・ディスコ・スタイル。「人力」オケのバックにデケデケデケデケっていう16分の電子音のシーケンスフレーズがずっと鳴ってるような、アレね。曲名はボリス・ヴィアンの著書「北京の秋」のもじりで、パリの左岸派へもさりげなくアピール(笑)。
ところで、この2曲、どっちも曲が若干長目。5分~6分あるからね。ふつうはシングルにはしない長さだよ。一般的にシングルレコードって45回転じゃない?だけど、45回転にするとMAXでも片面5分以内(理想は4分程度とされている)に収めないとOUTなんだよ。で、現実的にあんまりないんだよ、33回転のシングルって。音質的に言うと理論上は45回転のほうがよりいい音ってことになってる(ほら、昔、「PIL」(パブリック・イメージ・リミテッド)とかもさ、わざと45回転仕様の12インチ2枚組とか出してたじゃん?)。でも、物理的に入れられないんじゃ仕方ない。選択の余地がないので33回転にするしかない。他の曲も考えたけどそもそも短い曲が無い(笑)。
それはそうと、今回、ドラムの音がすこぶるイイ音で録れたのがうれしかった。もちろん、いつも通りに自分たちでマイクをセットしてオンボロのMTRで録音しただけなのだが。できることなら、あのマイクのセッティングのまま、アルバム1枚丸ごと録音したいぐらいそれぐらいイイ音だった。ドラムの録音ってぇのはほんと難しいからね。もう何度もやってるけどいまだコツがつかめない。
 しかし、今回はよかったなぁ。たまたま偶然だったのかもしれないけど。いや、ウチのドラマーのプレイもいつになく冴えてたしなぁ(笑)、それと今回借りたマイクも良かったのかもしれない。いつもはだいたいシュアーの57っていうどこのスタジオにもライヴハウスにもゴロゴロ転がってる一般的なマイク(市価¥8000ぐらい)で全部取っちゃうんだけど、今回はバス・ドラムとフロア・タム用にそれぞれ1本5万円するマイクを借りてみたのだ。センハイザーのMD441とエレクトロヴォイスのRE20って老舗のマイク。今までそんなマイクがそのスタジオにあることさえ知らなかったのだが、それらも同じ1時間100円で借りられるのを知り、それなら高いのに越したことはないじゃないか?というセコイ貧乏人根性が功を奏したのか、この低音収録に威力を発揮するという二本の5万円のマイクが結果的にはいいシゴトをしてくれたのだった。こと、フロア・タムのショボイ音には毎回泣かされていたのだが、今回は「ド(ボ)ォーン」という、腰の据わった低音が収録できた。うむ、かのXTCの「ブラック・シー」を作り上げた名匠スティーヴ・リリーホワイトの破壊的で野太い音には遠く100万光年及ばぬが、地球から月ぐらいの距離は縮まったんではないかと思うがどうだろう。
いずれにせよ、目標は年内完成。間に合うのか?最近の馬鹿みたいなレコードブームのおかげで工場のスケジュールは以前に増して過密気味と聞く。いや、それ以前にプレス代足りるのかよ?無職の分際でレコードなんて作ってる余裕ないんだけどね。それに、国内でプレスすっか、海外ですっか。1円でも安いほうを、と、今、電卓叩いて懐具合と相談中。どうか期待しないでジャスト・フォー・ア・モーメント。

 もう2年前になるだろうか?古い友人がそれまで住んでいた東京を離れ、生まれ故郷だという北海道の最果ての地(ロシアとは目と鼻の先!)へと帰っていった。
 冬ともなれば半端ない積雪で家から一歩出るにも難渋するような気候らしいが、今頃の季節はさぞかし過ごし易いのではないか?もともと絵を描いていた人で、最近ではそれに加え陶芸などにもチャレンジしている、というような内容のメールを先日受け取った。海も近いらしく、大自然に囲まれ、悠々自適にくらしているようだ。
 それに比べりゃ、このオレときたら今日もひからびそうになりながらこのゴミためのような街で食うためのシゴトを求め、売れない曲を書き、成す術もなくピーピー喘いでる。なんという落差。虚しくもなる。とはいえ、人にはそれぞれその人が生きてゆくのに相応しい環境があるのも確かだろう。北海道の大自然に囲まれ創作活動にいそしむ友人を羨ましく思う一方で、もし、オレがそんな環境に放り出されたら多分途方に暮れ1日も経たずに気がヘンになるかもしれない。気がヘンになった挙句、波しぶきをあげる北の海を見つめながら書く曲は、壮大なエセ・ヒーリングミュージック風かもしれない。そしたら東儀秀樹と共演できるかね?
 それはそれで面白いかもしれないが、やっぱりオレには無理だよ、きっと。凶悪なネオンがギラギラ輝く歌舞伎町の片隅の薄汚い立ち飲み屋でひとりクダ巻いて串揚げを二度漬け禁止のソースの中にチャプチャプやってる後姿がオレには似合ってるんだろうし、この街のあらゆる「ゴミ」が発する腐臭がオレを奮い立たせもしイマジネーションを与えてくれているのかもしれない(幻滅させられることもしばしばだが!!)。そうさ、オレの名はゴミムシ。トーキョーという名の巨大なゴミ山(スモーキー・マウンテン)で蠢くゴミムシ。今夜もジュリーの歌とともに欲望渦巻く哀愁のゴミ・シティーTOKIOに乾杯。
 立ち飲み屋の暖簾(のれん)をくぐって一歩外に出れば、コマ劇場跡地にそびえたつうすら寒いノッポのビルが崩壊する姿がオレには見えたし、その壁面から身を乗り出している悪趣味な「ゴジラ」のオブジェが落下してゆく姿がオレには見えた。そして、その足元の色あせた「のぞき部屋」の看板越しのさらにその先はるか千キロの彼方に横たわるドス黒く強大な北の海が白い波濤を岸壁に叩きつけオレのことをあざ笑うのが見えた。笑えよ!さあ、もっと笑えよ!!

 中上健次の「路上のジャズ」という文庫を手に入れた。ヒリヒリするようななにもかもが熱かったアノ時代の雰囲気を著者自身の思い出と絡め荒ぶるジャズの精液臭とともに煮詰め伝えてくれる名著である。もう全てが紙っ切れかサランラップのように薄っぺらい今の時代に、この著書と同じようなヒリヒリ感を求めてもハナっからムダだが、紙っ切れのような人間にだけはなるまいと、中上健次の愛したマイルス・デヴィスを聴きながら今日のブログを綴ってみたのだが・・・。
 いや、すでにペラッペラのフヌケのオレが偉そうにそんなこと言うのもおかしな話なわけで。



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今夜のBGM

酒徳利がエンジンに直結しているのだろうか?ひび割れたコンクリートジャングルを疾走する素浪人は片岡義男のバイク小説には絶対出てこないが、マッドマックスも春日部の暴走族も手が出せめぇ。情けを満タンに今夜も一太刀。



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【ダンボール・バット】ライヴ

9月17日(土)@大久保「ひかりのうま」
※JR総武線・大久保駅・南口改札より徒歩20秒!!
http://hikarinouma.blogspot.jp/?view=classic

DANBALL BAT presents
【爆裂!土曜音楽館 2】
~ジュリーとインベーダーゲームと竹の子族が笑った夜~

PM7:00 OPEN /PM7:30 START
※当日券のみ¥2000+1drink代 
※前売り予約はございません。


出演順に
①エーゲ海(シシハラ慎太郎+嶋田真由美編集長)
②キンキ-・サロン
③ダンボール・バットfeat.AYAKO

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ダンボール・バットの最新アルバム
「壊れたカセットはAOR」
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ダンボール・バット
発売中!(2015.6.25発売)
全14曲(約1時間収録)/1500円+税/見開き紙ジャケット/歌詞・ライナー付き
作詞作曲・録音・ミックス・プロデュース:AMI
ジャケ画:逆柱いみり
CD帯・推薦文:コモエスタ八重樫
解説:岡村詩野、湯浅学
寄せ書き:
小野瀬雅生(クレイジーケンバンド)、
大田譲(カーネーション)、ホッピー神山
ゲスト・ヴォーカル:
蒼衣スイミング、市場大介(美人画家)、
Miiss Donutfromアメリコ)<敬称略>


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▼ディスクユニオン

2013年7月27日発売/全10曲(42分)/¥1200+税/歌詞付/
CD「帯」推薦文:直枝政広(カーネーション)
解説:岡村詩野(音楽評論家)/
ライナー寄書き:蔦木俊二(突然段ボール)、
屑山屑男(「TRASH-UP!!」編集長)
ジャケット写真:AMI/デザイン協力:嶋田真由美(「TRASH-UP!!」デザイン室))


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