2010年12月28日火曜日

立て!馬車馬。再び。

「人は私のことを単なる“一発屋”だと言います。でもね、私はそんな人達に向かって『それじゃ、あなたも一発当ててみればどうですか?』って言うんですよ。とにかく私は一発当てたんです。それがいかに難しいことだったか」(「レコード・コレクターズ」誌より)

これは'68年にウクレレ片手に♪「ティップ・トゥ・スルー・ザ・チューリップス・ウィズ・ミー」って白痴のオッサンが童謡を歌っているような珍妙な曲で大ヒットを飛ばしたアメリカの異色シンガー(しばしば「カルト・シンガー」的な扱いも・・・)タイニー・ティムの後年のインタヴュー記事からの抜粋です。正に120%正論です。よく使われる「一発屋」って言葉は、どちらかと言うと、あまりいい意味では使われず、ちょっと小馬鹿にしたような、ちょっと下に見るような意味合いを多く含んでいる言葉です。しかし、たった1曲とは言え、そしてそれがどんなにクソつまんない曲だったとしても一発ヒットを当てたという事実は事実。その偉業は評価されてしかるべきです。
今年のNHK紅白初出場ということで話題になってるという♪「便所の神様」とかなんとかいう聴いていてひたすら薄ら寒くなる曲を歌っているシンガー・・・名前さえ知りませんが・・・のサクセス・ストーリーみたいのを(これがまたありがちな話・・・)先日何かで知りまして、それによると、今から6年前にどこかの音楽コンテストで優勝し、その後事務所に所属し、シングルやアルバムをリリースし続けるも泣かず飛ばずで事務所との契約ももうじき切れるって崖っぷちって時に出した例の♪「水洗トイレのキリスト様」が大ヒット。めでたく首がつながるは紅白に出られるわってことでめでたしめでたしってことらしいのですが、でも、まあ、次は無いでしょう。次があるとすれば似たような「お涙頂戴」的、あるいは「人生の応援歌」的二番煎じな曲を作り続けるか・・・しかし、いずれにせよ、冒頭のタイニー・ティムの発言ではありませんが、一発当てたことは事実。栄光の「一発屋」の称号を手に入れられたわけです。そこへ行くと、オレなんて始めから「次」なんてありません。そのかわり失うものもありませんけど(爆)。ヒットが全てとは言いませんが、一生貧民屈の最下層社会で塩舐めながら誰の眼からも涙の一滴さえ流させることの出来ない曲、あるいは誰の人生の応援の足しにもならないような曲を作って排泄し続け自己満足に屈していくしか能の無いオレからすれば♪「肥溜めの仏様」って曲は時にまぶしく見えなくもないという、結局、一年の締めくくりもボヤイて終わりっていう人間的に成長ゼロのどうしようもないボクです。ところで、オレ今年でいくつになったんでしょう?って数えると、空恐ろしくなります。精神年齢だけは29歳でSTOPさせたつもりなんですが、肉体だけは歳相応に衰えていくわけです(笑・・・「ブリキの太鼓」と真逆ね)。しかし、来年2011年は、わがクソ・バンド「ダンボール・バット」のNEWアルバムを完成させるという人生最期の大事業が控えているわけで、キム・ジョンイルが先にくたばるか、オレが先にくたばるか、成長ゼロの精神と衰えていくだけの肉体にムチ打って、一馬車馬として戦い続ける所存です。どうぞ、来年もよろしくお付き合いのほどを。みなさんもよいお年をお迎えください。それでは、最後にみなさんとご一緒にご唱和させていただき、本年最後の日記とさせていただきます。


                 「立て!馬車馬!」


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▼今年最後のBGM
今年オレが出合った数多の曲の中でも、オレの胸ぐらをオレの脳髄をオレの股間を掴んで離さなかった1曲がコレ。年末を飾るにふさわしいグレイトなナンバー。オリジナルは60年代にヒットしたポップスらしく、その後もドナ・サマーから布施明(!)まで幾人ものシンガーによってカバーされている名ナンバー。ご紹介するのは70年代に活動していたイギリスのB級プログレ・バンド「ベガーズ・オペラ(←バンド名を直訳すれば<こじき歌劇>)」の3rdアルバム(宇宙服着て馬に跨っているこのジャケも最高)に収録のヴァージョン。とにかく、オリジナル・ヴァージョンは言うに及ばず、この壮大でゴーヂャスでスリリングなカバー・ヴァージョンの前ではドナ・サマーのヴァージョンがドラえもんのテーマか何かに聴こえる始末。こんなナンバーを歌いながらステージでポックリ死ぬのがオレの理想。長い曲ですが、ワインでも傾けながら是非最後まで聴いてみてください。じゃ、初夢でお逢いしましょう。

2010年12月21日火曜日

今夜はセ・シ・ボン。

  敬愛するセルジュ・ゲンズブールの写真集(日本語訳版)がつい最近発売に。タイトルは「馬鹿者のためのレクイエム」。それを先日偶然高円寺の駅前の本屋で見つけて知ったのですが、定価が3000円もするシロモノで、いつも千円札数枚しか入っていないシミッタレたオレの財布と相談するまでもなくその日は断腸の思いで店を後にしたわけです。ところが、夕べ、自分のゴミ部屋のゴミの山をほじくり返していると、以前知人から頂いたまましまっておいたJCBのギフトカードが都合よくというかまさにこの本を買えと言わんばかりにちょうど1000円券が3枚、つまり3000円分が出てきまして、しかも新宿の大型書店ならコイツが図書券同様に使えると言うのを知り、本日さっそくゲットしてまいりました。オマケのポストカードを始め、初めて眼にするクソッタレな貴重な写真の大量掲載に卒倒。さらに写真と写真の間には本人の挑発的な発言の数々が散りばめられており、こちらもイチイチ失禁しそうになりながらむさぼり読んでいる始末。ページとページの間から今にも紫色のジタンの煙がモクモクと立ち昇ってくるような濃厚な1冊であります。

表紙をめくると冒頭、真っ黒なページの最下部にポツンと一行だけこんな発言が・・・

    
          「煙草を吸う、酒を飲む、女を抱く。正三角形だ。」
                              by S.GAINSBOURG


・・・オレにはあと500年かかっても言えない。ありがとう、JCBギフトカード!



 

  さて、当バンド「ダンボール・バット」の新ドラマーが決まった事はだいぶ前にお伝えしましたが、地獄のレコーディング作業と並行しながら、一方スタジオではその新ドラマーを加えてのこれまた地獄のリハーサルを密かに開始しておりました。ご存知のように新ドラマーは女のコでありますが、これがまた非常に小柄で華奢(きゃしゃ)な体型でいらっしゃいまして、ドラムなんか叩かせたらその場で全身バラバラに壊れちゃうんじゃないかって見ているこっちがドキドキしちゃうくらいなんですが、ところがドッコイ、外見なんてあてにならないもので、カノジョが叩き出すサウンドは中々に強力なんであります。特に昨晩のリハは、何か吹っ切れたのか、今までは単に遠慮して叩いていたのか、なんとも目を見張るものがありました。重心は低く力強く無駄がなく安定したキレのあるサウンド。バスドラムのドスンッという心地イイ低音が腹に来る。あん?ここのスタジオのドラムの音ってこんなに良かったっけ?と自分の耳を疑う有様。さすが、天下の「つのだ★ひろドラム・スクール」出身の肩書きは伊達ぢゃありません(そこは触れなくていいから・・・笑)。例えるなら、名匠スティーヴ・リリーホワイトが手掛けたXTCの代表作「ブラック・シー」('80)あたりのあのドラムを生で聴いているような錯覚さえ起こしそうになったぐらいですからボク、って言ったらちょっと誉めすぎですか?誉めすぎですね。スミマセン。年明けのライヴの予定など全然ないのですが、いやはや、今からステージが楽しみであります。あ、そうそう、ちなみにカノジョのステージネーム、命名させていただきました。全く何の縁も所縁もないんですが、なぜかピンク・フロイドの1st収録のアノ代表曲のタイトルがふと思い浮かびまして、その一部を拝借。その名も「エミリー・プレイ(EMILY-PLAY)」。シド・バレットの幽霊に怒られそうですが、どうぞ世露死苦哀愁。





「最後の女か最後の煙草か、どちらかを選ばなければならないなら煙草を選ぶよ。だって捨てるのが楽だから。」
                               by S.GAINSBOURG


・・・オレにはあと1000年かかっても言えない。ありがとう、JCBギフトカード!






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▼今夜のBGM
実は「メロトロン」という時代錯誤な楽器が奏でるストリングスの音って今まで好きじゃなかったんです。でも最近知ったこの曲の、このイントロを聴いてオレの頑なな心は氷解しました。砂に浸み込む雨粒のような、どこか遠くで燃えている藁(わら)の焦げる匂いのような音色に。

2010年12月16日木曜日

魔界転生。

最近、道を歩いていてすれ違うイヌやネコ(野良イヌ・ネコ、飼いイヌ・ネコ問わず)と目が合うと、すかさず心の中で「おい、以前オレと何処かで会ったことなかったか?」と問いかけるオレ。ここでの「以前」とはオレが生まれる前、つまり前世も含むという意味。別段、どこぞの新興宗教にハマッているわけでもなく、ことさら<輪廻転生>を信じているわけでもないのですが、いつか、オレのこの問いかけに対して答えを返してくれるイヌ、ネコが現れるかもしれないのではないか、と、全く阿呆としか言いようがない遊びを見つけたオレ。ついに、オレも気が狂い始めたのかもしれません。もしくは死期が近づいている証拠かも知れません。

この10月末から続いている「ダンボール・バット」の地獄のレコーディング作業の連日の疲れがとうとうピークに達し(もちろん、それにプラスして「昼間」の労働の疲れも相まって・・・)、特に「動悸」と眼の疲れから来る「吐き気」がひどく、おとといも昼間1時間だけギターの追加録音のため近所のスタジオへ機材担いで這うようにして出かけていき、その前後はドリンク剤をラッパ飲みしてほぼ一日中布団の上にブっ倒れておりました。こりゃ、本当にヤバイなって思うくらいの状態で、こんなこと続けていたら死期もそりゃ近づいて来るかもしれません。そして、なんとも偶然と言うか皮肉にも、レコーディングに使用しているレコーダーまでもがその日のギターの録音の後、操作不能になる始末!操作する人間がぶっ倒れたと同時に操作される側の機械までもが音(ね)を上げるという笑うに笑えない状況にファッキン・ジーザス!。ただ、不幸中の幸いは、血の汗を流しながら編集したこれまでのレコーディング・データは、全てCD-Rに保存してあったこと。そして、その日の夜には、反応がにぶいながらもなんとかレコーダーが動く状態に。しかし、このレコーダーも買って既に7年。前回3年前のレコーディングで酷使し、その後もデモ作りで幾度も酷使、そして、今回新たなレコーディングに突入し、これでもかというくらいに酷使!おそらく、この機械を日本中(もしかすると世界中)で一番酷使・・・使い倒しているのでは?ってくらい酷使に酷使!メーカーの耐久性テストの限界をはるかに上回るくらい酷使しているような気がします。それにしても、まだまだレコーディングは序盤の序盤。人間も機械もこんなていたらくなザマで今回の地獄の行軍(レコーディング)が制覇できるのか非常に心配になってきました。しかし、焦っても仕方ありません。とにかくここは一旦休息を取る事に。今度の日曜日に予定していたメインのキーボードの録音も年明けに延期です。体調のほうも今日はだいぶ復活してきたようです。立て!馬車馬!


「昔、何処かでアンタと会ったような気がするぜ!」そう答えてくれるイヌやネコと出会うまでは、オレはまだ死ぬわけにはいきません。エロイムエッサイム。魔界転生。南無。



▼今夜のBGM
5分過ぎあたりから静かに発狂。アシッド・フォークの名曲。奇跡の来日決定ってウソのようなホントの話らしいです。

2010年12月7日火曜日

ヘル・サイド・パレス。

最近、朝鮮半島情勢が怪しいぢゃないですか?平和ボケのこのニッポンにいつ北朝鮮からミサイルが飛んで来てもおかしくない今、ニュー・アルバムの制作途中にしてオレはまだ死ねないわけで、こんなことなら先の都知事選、選挙公約で北朝鮮から飛んでくるミサイル(テポドン)を阻止する画期的発明で都民、日本国民を守ってみせると豪語していたかの発明王、ドクター中松に票を投じておくべきだったと強く後悔しています。(そのドクター中松の恐るべき「発明」の詳細はこちらを参照されたしhttp://allabout.co.jp/gm/gc/292478/)。

さて、そんな北朝鮮の不穏な動きに加え、虚弱体質のオレが心配なのは、巷で大流行の兆しありと騒いでいるインフルエンザにノロ。どっちも数年前に実際に体験済みなのであの辛さは身にしみて二度とノー・サンキュー・ジーザスです。さらに昨今は、街の中をただ歩いているだけで見ず知らずのキチガイにトラックで突っ込まれたりナイフで刺されたりして命を落としかねない物騒な世の中ときたもので、日々、色々な脅威にオレのかぼそい生命は危険に晒されているわけです。この日記を書いている1分後に大地震が来て天井の下敷きになって死ぬかもしれません。バカバカしいとお思いの方もいらっしゃるかもしれませんがオレは本気なんです。とにもかくにもこの糞レコーディングが終わるまではくたばるわけにはいきません。多分この調子だとレコーディングが終わったその瞬間に、土から這い出してきて一週間で命を終えるセミの最期のようにオレもパタリとその場で果てそうな気がします。昼間は馬車馬のように安給料の仕事に精を出し、クタクタんなって帰ってきて深夜寝るまでのわずかな時間が奴隷に許された自由時間。ツメのアカほどの微々たる時間のほぼ全てを費やして今レコーディング作業に取り組んでいるわけです。一分、一秒がホントに貴重に思えます。ウンコやオシッコをする時間さえも勿体なく思え、本気でオムツを着けて作業しようかと考える有様。阿呆も極まれり。

そんな苦闘のレコーディング作業。10月末に録音した7曲分のドラム・トラックの編集&修正作業が本日ようやく完了。丸々1ヶ月を費やすはめになってしまいましたが、それもこれも、ダンボール・バットのアルバム史上最も低予算なのに最も高品質なCDの仕上がりを目指しての執念の結果であります(今までのアルバムが余りにもひどすぎた!)。細かいことを言えばまだまだ修正したい箇所はあるのですが、もうこれ以上「手の施しようがない」って地点までたどり着いたような気がします。もうこの辺で許してやろう。やるだけのことはやった。・・・なんか、大手術を成し遂げた後の外科医のような気分を、今、極度の疲労感と若干の空腹感と共に味わっています。

そして、次回、レコーディング第4弾は12月中旬にメイン・キーボードです。ダンボール・バットのキーボード担当のROSEを我が家の名ばかりの自宅スタジオへ呼んでのレコーディングです。そして、このゴミやガラクタや本やレコードや喰いかけのお菓子や得体の知れないモノ・モノ・モノで足の踏み場もなくなってしまっている我が畳敷きのスタジオを「HELL SIDE PALACE(ヘル・サイド・パレス)」・・・と、本日命名することを決定。いざ、HELL(地獄)の果てまでも。南無阿弥陀仏。


▼今夜のBGM
3本足のニワトリ喰って馬鹿騒ぎ。異教徒どもの祝祭事に付き合わされる義理もいわれもないがこのヒトたちの屈託のない笑みに免じて許したる、今夜だけは。