ピンクフロイドのアルバムでよく聴いたのは「原子心母」「炎」「ファイナルカット」あたりか。最後に聴いたのは87年の「欝」まで。ギルモアのギターソロ聴いて涙した頃もあったが、心底好きって言えるほどのバンドではなかったのだろう、オレにとっては。だから、先日20年ぶりだかで発売された新作の話題を初めてネットで目にした時も衝撃というよりはなんで今更?って感じだった。ディスクユニオンのプログレ館に行ったらちょうどその新作の発売日と重なったものだから一番目立つ棚一面に新作関連の商品が面出しされていた。もちろん店内のスピーカーからは新作がひっきりなしに流されていた。家に帰って新作のPVも観てみた。とにかく音も、映像も、ただ一言、「よく出来てるな」・・・という意外何の感慨も浮かばなかった。カネかかってんな、いい機材使ってるんだろうな。人が演奏しているハズなのに曲を聴きながら思い浮かぶのはなぜかパソコンの画面。その画面に映っているのは膨大な数のトラックに記録された様々な音の波形のジグザグ模様。プロツールスだかどこの高性能DTMソフト使ってんだか知らないが、とにかく、やたら人間臭い情感を漂わせた曲調なのに、血が見えない匂いがしない技巧的過ぎてどこか嘘くさくて人工的で唯一匂うのはカネの匂い、なんて言ったら言いすか・・・偉そうに。それは、過去のアルバムでさんざん聴いたような曲の焼き直しのような。まあ、聴けば心地いいだろうし、ハズれナシの安心感はあるだろうが、ただそれだけではないのか。どうせなら、電気楽器を一切使わないとか、ギルモアは一切ギター弾かずドラムを叩くとか、原子心母パート2を作るとか、ロジャー・ウォーターズとフルオーケストラをバックに「シー・エミリー・プレイ」をデュエットしてシド・バレットの墓に手向けるとか、なんかそれくらいの突拍子もないことをやって有終の美を飾って欲しかった、と思う阿呆がここに一人おりまする。全世界のプログレ・ファンの親爺どもの手慰み、あるいは高級オーディオ、並びにハイレゾなるクソ高音質オーディオ・マニアらへ上等の新「ネタ」を提供したということにおいては意味があると思うけれど・・・。
そんなピンクフロイドもたしかサントラに使われていた古い映画で「砂丘」('70)っていうのがあった。昔、映画館に観にいった記憶があるのだが、内容・ストーリーとも全く覚えていない。唯一覚えているのは、バックに流れるサイケデリックなサウンドに合わせて素っ裸で男女がまぐわいながら砂丘をコロコロ転がっていたような場面と、ラストで崖の上の建物か何かが大爆発するシーンが執拗に繰り返し繰り返し映し出されていたような・・・。とにかく「砂丘」が舞台の映画であった。「砂丘」と言えば、ムーンライダーズの1stアルバムにもかしぶち哲郎作詞作曲歌唱による同名の名曲があるが、「砂丘」・・・ひいては「砂」というキーワードを頭に浮かべてみれば色々と思いつく。例えば、原作の小説、映画ともに素晴らしい安部公房の「砂の女」だとか、デヴィッド・ボウイがアコギで爪弾く「流砂」だとか、植村正治の一連の砂丘の写真だとか、エトセトラ。
「砂」というものはなにかいろいろのイメージを膨らまさせ妄想を抱かせてくれるロマンチックな物質なのかもしれない、と前々から思っていたのだが、実はオレも少し前に「大砂塵」なるこれまた大仰なタイトルの曲を作ったのだった。今、まさに、我がバンド、ダンボール・バットのニューアルバム「壊れたカセットはAOR」のレコーディング最後の追い込みの真っ最中なのだが、そのレコーディングの最中に作るつもりでもないのになんとなく傍らの鍵盤をポロポロ弾いていたら曲ができ、その辺に投げ捨ててあった歌詞の断片をフンフンと鼻歌まじりで完成させてしまったのだ。やっつけで作った曲ながらなかなかの出来栄えなので、制作中のニューアルバムに急遽加えることにしてしまった。
「大砂塵」・・・もともとは、オレの敬愛するシンガー、浅川マキのと或るアルバムに入っている曲で、初めてその曲名を目にした瞬間、曲を聴くより先に「ピンっ!」と来るものがあり、いつかそのタイトルを拝借しようとネタ帳に書き留めておいたのだ。なんとも創作意欲をかき立てられる漢字3文字である。そういえば、そんなタイトルの古い映画があったような微かな記憶があり調べてみると確かにあった。1954年のアメリカ映画。実は、オレの書いた歌詞の中にジャンヌ・モローという女優の名が出てくるのだが、勝手にジャンヌ・モローがその映画に出ているもんだと勘違いしていた節があるのだがもちろんその映画には出演していなかった。たまたま最近、「死刑台のエレベーター」を観てそのサントラばっかり聴いてたせいでジャンヌ・モローの名が頭にこびりついていたのだろうと思うが、まあ、そんな勘違いも面白いからヨシとした。
オケは全部オレが宅録で録音してしまった。とっても壮大なオケになった。で、歌をどーしようかと考え咄嗟に思いついたのが、ウチのドラマーのヒロエ(EMILY-PLAY)に歌わせるってことだった。この曲はオレが歌ってもなんかピンと来ない、そんな気がしたのだ。壮大なオケをバックに、たどたどしい子供の声、もしくは、切なそうに今にも砂嵐にその身もろともかき消されんとしているような女の声でなくてはダメだ。普段歌など全く歌ったことがないという彼女に歌わせたら面白いかもしれない、と思ったのだ。しかし、1回目の録音で聴かせてくれた驚異的なその音感のハズレっぷりにブラックホールの淵を覗いてしまったかのような戦慄を覚えたのだった(笑)。やはりオレの人選ミスだったか、と、一時は断念しかけたのだが、その後、彼女自ら自宅での血のにじむような特訓(!)を経て迎えた2回目の録音では、見違えるような歌を聴かせてくれたのだった。もちろん、音程は未だ怪しくあちこちからは水が漏れ出してしまっているのだが、今まさに砂にかき消されんとするその刹那をギリギリ紙一重のところで表現できているのではないかと自負している。約3分ジャストの小品ではあるがニューアルバム中のある意味キラーチューンになり得るかもしれない。これはヤバイ。お楽しみに。
さて、そんな新曲のことなど熱っぽく語ってるヒマなどないのであった。実は年内にマスタリングまでは完了させようと目論んでいたニューアルバムなのだが、ほぼ絶望的になってきた。いや、もう9割は完成しているのだが、もう一息なのだ。そんな矢先に、今度のアルバムのジャケ画をお願いしていた逆柱いみりセンセイから原画が先に届いてしまった。というわけなので、本邦初公開!ひとまずこれは表ジャケ。ポップでキャッチーなジャケではないか。こりゃ売れるか?売れるんじゃなかろうか?いや、売れてくれなくては困るのだ。この絵を眺めながらちょっとだけ期待していてください。ほんのちょっとだけ。
久しぶりに「原子心母」(もちろんLPレコード)を引っ張り出して聴いている。いかんいかん安酒に酔ったか、ジャケの牛が二頭に見える。演奏はもたついてるがやはり名盤には違いない。この年末に来て国会は解散選挙だとぬかす。莫大な税金を使って。ふざけんな、安倍よ。怒り狂った数千頭数万頭の牛が大挙して国会議事堂へと突進する映像が浮かぶ。続いて、議事堂が粉々に大爆発する映像が角度を変えながらスローで執拗に何度も何度も繰り返される。バックには怒れるピンクフロイドが大音響で。これでもか、これでもか、これでもか、と垂れ流れされている。
【特報!!】ダンボール・バット次回ライヴは、おなじみの雑誌「トラッシュアップ!」との共同企画イヴェント「ニューウェイヴ天下御免」の年末スペシャル。特別ゲストはオレも敬愛する巻上公一さん(fromヒカシュー)だ!!巻上さんの驚異のヴォーカル・ソロ・パフォーマンスに加え、ヒカシューのナンバーにて僭越ながら我がダンボール・バットとの共演コーナーもご用意!!今から失禁しそうであります!!
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★今夜のBGM★
なつかしの映像アーカイブス!来る12月7日(日)に再び巻上公一センセイと共演する運びとなった我がダンボール・バットと巻上センセイとのこれは2010年の共演ライヴ映像。「スイカの行進」というニッチな選曲がレア度を高めておる歴史的映像であります。ス・テ・キ。
「スイカの行進」/巻上公一+ダンボール・バット+チーム・スイカ(LIVE@UFO-CLUB)
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【お知らせ】
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ダンボール・バットでは女性キーボード奏者急募中(サポートOK)!お気軽にお問い合わせください。
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12月7日(日)@渋谷「ラストワルツ」
「ニューウェイヴ天下御免VOL.9年末SP」
出演:巻上公一(fromヒカシュー)、
ダンボール・バット、こまどり社(前衛獅子舞)、
JUBIOTTO(シンセ・ライオット・パンク)、曇の原(プログレシッヴ・ハード・フォーク)、パンタンシノワ(アイドル・ユニット)
※巻上さんとダンボール・バットの共演コーナーも予定
PM5:30 OPEN / PM6:00 START
前売予約¥2300 当日¥2500 (+各drink代500円~)
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【ネオン警察(リーダーAMIのソロユニット)】ライヴ
12月28日@新宿カールモール
カールモール企画・歳忘れライヴ!
※詳細確認中
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▼リーダーAMIのソロユニット「ネオン警察」1stCD「空間の犯罪」発売告知PV
▼アマゾン
▼ディスクユニオン
2013年7月27日発売/全10曲(42分)/¥1200+税/歌詞付/
CD「帯」推薦文:直枝政広(カーネーション)
解説:岡村詩野(音楽評論家)/
ライナー寄書き:蔦木俊二(突然段ボール)、
屑山屑男(「TRASH-UP!!」編集長)
ジャケット写真:AMI/デザイン協力:嶋田真由美(「TRASH-UP!!」デザイン室))
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◆ダンボール・バットでは、イヴェントへの出演依頼随時募集中。お問い合わせはこちらから
◆ダンボール・バット公式サイト
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▼現在発売中のダンボール・バットのアルバム
▲『馬鹿ヌーヴェルヴァーグ』
▲品番:TSR69002/発売:東京産業レコード ▲2012年1月31日発売▲全11曲(約42分)収録 ▲録音・ミックス・プロデュース・作詞作曲:AMI▲W見開き紙ジャケ仕様/歌詞カード付▲CD帯コピー文:ROLLY(ローリー) ▲ジャケット写真&デザイン:常盤響▲ライナー:岡村詩野&湯浅学 ▲寄書き:白井良明(ムーンライダーズ)&サミー前田▲ゲスト・シンガー:ジョン<犬>&イライザ・ロイヤル(エコダムド/ex穴奴隷) ▲サポート・コーラス:MARI(BLACK&BLUE) <以上・敬称略>
▲収録曲 「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」「ファッション革命」「滿民の敵」「シュトラウスは夜に殺せ」「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」「狩人だから」、他全11曲 ▼下記各オンラインショップにて販売中! [AMAZON][TOWER RECORDS][DISK UNION][楽天ブックス]
※タコシェ(中野ブロードウェイ内)、高円寺「円盤」等の店頭でも販売中。
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■「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」全曲高音質ダウンロード販売開始!特集記事も読めます。こちらから!(提供:OTOTOY) http://ototoy.jp/feature/index.php/20120326
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▲『馬鹿ヌーヴェルヴァーグ』
▲品番:TSR69002/発売:東京産業レコード ▲2012年1月31日発売▲全11曲(約42分)収録 ▲録音・ミックス・プロデュース・作詞作曲:AMI▲W見開き紙ジャケ仕様/歌詞カード付▲CD帯コピー文:ROLLY(ローリー) ▲ジャケット写真&デザイン:常盤響▲ライナー:岡村詩野&湯浅学 ▲寄書き:白井良明(ムーンライダーズ)&サミー前田▲ゲスト・シンガー:ジョン<犬>&イライザ・ロイヤル(エコダムド/ex穴奴隷) ▲サポート・コーラス:MARI(BLACK&BLUE) <以上・敬称略>
▲収録曲 「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」「ファッション革命」「滿民の敵」「シュトラウスは夜に殺せ」「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」「狩人だから」、他全11曲 ▼下記各オンラインショップにて販売中! [AMAZON][TOWER RECORDS][DISK UNION][楽天ブックス]
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DANBALL BAT PV▼
「シュトラウスは夜に殺せ」/ダンボール・バット (アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)
「シュトラウスは夜に殺せ」/ダンボール・バット (アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)