子供の頃、霊柩車を見かけたら両手の親指を隠さないと親の死に目に会えないだとかなんだとかいう言い伝え(?)のようなものをまことしやかに誰ともなく聞かされそれを実行していた記憶がある。いわゆるジンクスというやつの一種でしょうか?きのう仕事帰りに自宅のある地下鉄の駅の改札を出たあたりからオレの前を歩いているオバサンの異様な行動に気付いたのです。他の人はとくに気付く様子は全く無く気付いたのはオレだけのようでした。階段の前に来るとまず両足をきちんと揃えて立ち位置を慎重に確かめてから何か思いつめた様子で階段を登り、地上の歩道に出た途端、道路に貼り付けてある黄色いパネル(?)・・・盲人の人が歩くときのガイドとなるボコボコしたあの黄色いパネル・・・の前でまた両足を揃え立ち止まり思いつめたようにそれを“またぐ”のです。行く先々現れるその黄色のパネルに対し同じ行動を繰り返していました。さらに下水の側溝のフタに対しても。まるでそれらが何か障害物、或いはこちらの世界とあちらの世界との境界線かなにかで、そのオバサンにしてみれば触れては(踏んでは)いけない邪悪なものなのかもしれません。それがジンクスの一種なのか、なにか宗教系のものなのか、宇宙からの電波に支配されているのかは分かりませんが、やがてオバサンは近所のスーパーマーケットへと吸い込まれていきました。みんなイカレてんだな。みんな疲れてんだな。ヘトヘトになってんのはオレだけじゃないだな、と、オバサンの背中に向け少々同情の念。
オレも疲れている。一日中、電卓だのパソコンのテンキー叩いて針の穴を通すような小数点以下の数字とにらめっこして売り上げがどうだとか件数がどうだとかノルマがどうだとか効率がどうだとかにいちいち一喜一憂し鼻息を荒げる人たち。そういう仕事をこれまた「天職」とばかりに楽しそうに意気揚々とこなすような人たちと過去にも仕事をしてきたし今もしている。ほんと疲れる。電卓叩くのに躍起になっている間にも福島の原発の汚染水はどんどん溜まってゆくし、北朝鮮の弾道ミサイルは虎視眈々と東京を狙っているし、アフリカじゃ飢饉で子供が次々死んでいるのだが、そういうことには一切無関心のようだ。電卓の液晶画面にはじき出される数字、数字、数字、数字、数字、数字、数字・・・が彼らには全てなのだ。そういう人たちを間近に見ているだけで精気を根こそぎ吸い取られる。せめてもの救いはそういう人間(向こう側の人間)にならなくて良かったな、ということのみ。いやならなくて良かったというか、幸か不幸かなれなかったからこそ、今もこうして安給料の奴隷のような一介の派遣社員として社会の底辺にへばりついて生きてゆくしか術がないのでありますが・・・。
そんな日々の疲れを引きずりながらも、わずかな時間をやりくりし、バンドの曲を作り、ソロの曲を作り、リハをやり、PVを撮影し、編集し、ライヴの告知をやり、チラシを作り、こうして誰かに読まれることもないゴミのようなブログを書き綴っておるわけです、この東京砂漠の片隅で。よくやってるな、オレ。と、自分で自分を誉めてやりたくなるときがあります。たまに。しかし、こんなハードなサイクルを続けていたらそのうちパンクする日が来るのは目に見えています。もし、街の中で、歩道に貼ってある黄色い盲人用パネルをいちいちまたいで歩いている思いつめたようなオレを見かけたとしてもどうかそっとしておいてください。
こんな狂っている日々の生活、社会の中で辛うじて今の今まで自分の精神を支えることが出来たのは我が師、チャールズ・ブコウスキーの存在なくしては有り得なかったろうと思う。オレにとってブコウスキーの著書は、オレにとっての聖書、或いはコーランのようなも、と以前のブログで書いたような記憶があります。ほんとうにそうなのです。最近、久々に、短編集「ありきたりの狂気の物語」を引っ張り出して読んでいます。ン十年前に最初に買った本はもうボロボロになってしまい、今読んでるのはその後買い換えた2代目。すでに、あっちこっち気になる文章にボールペンで線を引きまくり気になるページの角には折り目がつきすでに2代目もオシャカ寸前。
「・・・失業して、部屋を追い出され、そして(たぶん)正気からもつきはなされていた当時、私は飲んでばかりいた。・・・(中略)・・・社会に対する恨みは微塵(みじん)もなかった。そもそも社会に属していなかった。そんなことはずっと前からわかっていた。・・・」
(同著<狂った生きもの>より)
短編集の冒頭からこの調子でオレの心は一気に持っていかれる。達観している。どうしたらこんな境地へと至れるのか?酒をまっ昼間から浴びるほど飲み続ければ至れるのか?こんなのは孔子か老子かシャカかサイババかサン・ラかブコウスキーにしか到達できない境地じゃなかろうか。
合わせて本書の巻末に書いてあった訳者(青野聰氏)によるあとがきにイイ事が書いてあったのでついでに記しておきます。
「小説というのはこの社会、この世界に対しての異議申し立てである。もし一冊の本でこの社会を爆破することができたら、こんな素晴らしいことはない。できない。できないがゆえに書き続ける。同化することは腐ること。堕落することだ。であるならば死ぬその日まで異議申し立てできる姿勢を崩さず、書き続けることである。」
(同著・訳者あとがきより)
なるほど、異議なし。おれもできることなら死ぬその日まで世間様に異議申し立てするような(?)オレにしかできない音楽を奏でていきたいと思う。思うが、喰うためにはどうしても自分を殺して社会と交わってゆかなければならない部分が生じてくるだろう。表面上だけでも社会と同化している風を装わなければ他人(とくに“向こう側の人間”)とはやってゆけない。「同化することは腐ること」。たとえそれが表面上だけの「同化」だとしても、日々、わずかなあぶく銭を稼ぐため、たったそれだけのことのためだけに社会に同化ししがみついているオレなどは、もうとっくに精神の根っこまで細胞の一つ一つまで腐っているのかも知れない。
「成功を夢みてるやつらがじつにたくさんいて、いがみあってるやつらがじつにたくさんいる。そして、てっぺんには、そこに値するやつは数人しかいなくて当然なのに、じつにたくさんのやつらがそこにいる。かくして全体が裂けて破れて崩れてくる。上から下へ、下から上へと。」
(同著「ポピュラー・マン」より)
おやすみなさい。ここ東京砂漠の片すみより愛を込めて。
★今夜のBGM★
本邦初公開。ダンボール・バットの最新ナンバー「ダーク・スター」をスタジオライヴ動画でお届け。ピンクフロイド「ダーク・サイド・ムーン」への返答か、本曲でポジパン歌謡ロックなるジャンルの確立か?ちなみにタイトルの「ダーク・スター」は前衛ギタリスト、ヘンリー・カイザー氏のレコードに入っていた曲のタイトルからそのまま拝借(原曲はグレイトフルデッドの曲だとか。)。曲はなぜか後期ルースターズをバックに歌う浅川マキ的(?)な世界を勝手に妄想して作ったつもりなんですが果たしてあなたの耳にはどう届きますやら・・・。次回8月1日のライヴで初お披露目予定です。
♪DARK STAR / DANBALL BAT(2013年)
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次回「ネオン警察」(AMIソロ)ライヴ情報
2013年7月26日(金)
八丁堀「七針」にて
「ネオン警察・レコ発~八丁堀に電気クラゲが出た!」
CD先行販売(サイン入り)・オマケご用意予定
PM19:00 OPEN / PM19:30 START
料金¥2000ポッキリ!(当日券のみ)
※ドリンク持ち込みOK
(店内でもビール¥300、ジュース¥200等販売しております)
出演:
ネオン警察
<AMI:Vo, PIANO, SAX, テルミン
ゲスト:
蜂鳥あみ太=4号(暗黒シャンソン)+佐藤真也<PIANO>、
こまどり社(前衛獅子舞&SAX)
※ゲストとの共演コーナーあり
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次回「ダンボール・バット」ライヴ情報:
8月1日(木)東高円寺UFO-CLUBにて
雑誌「TRASH-UP!!」+ダンボール・バット共同企画第4弾
【ニューウェイヴ天下御免 VOL.4】
PM6:30OPEN / PM7:15 LIVE START
※出演者調整中
DJ:屑山屑男(TRASH-UP!!編集長)
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▼ネオン警察1stCD「空間の犯罪」発売告知PV
2013年7月27日発売/全10曲(42分)/¥1200+税/歌詞付/
CD「帯」推薦文:直枝政広(カーネーション)
解説:岡村詩野(音楽評論家)/
ライナー寄書き:蔦木俊二(突然段ボール)、
屑山屑男(「TRASH-UP!!」編集長)
ジャケット写真:AMI/デザイン協力:嶋田真由美(「TRASH-UP!!」デザイン室))
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◆ダンボール・バットでは、イヴェントへの出演依頼随時募集中。お問い合わせはこちらから
◆ダンボール・バット公式サイト
http://danballbat.cside.com/
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▼ダンボール・バットNEW ALBUM告知CM
▲『馬鹿ヌーヴェルヴァーグ』 ▲品番:TSR69002/発売:東京産業レコード
▲2012年1月31日発売 ▲全11曲(約42分)収録
▲録音・ミックス・プロデュース・作詞作曲:AMI
▲W見開き紙ジャケ仕様/歌詞カード付
▲CD帯コピー文:ROLLY(ローリー)
▲ジャケット写真&デザイン:常盤響
▲ライナー:岡村詩野&湯浅学
▲寄書き:白井良明(ムーンライダーズ)&サミー前田
▲ゲスト・シンガー:ジョン<犬>&イライザ・ロイヤル(エコダムド/ex穴奴隷)
▲サポート・コーラス:MARI(BLACK&BLUE) <以上・敬称略>
▲収録曲
「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」「ファッション革命」「滿民の敵」「シュトラウスは夜に殺せ」「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」「狩人だから」、他全11曲
▼下記各オンラインショップにて販売中!
[AMAZON][TOWER RECORDS][DISK UNION][楽天ブックス]
※ディスク・ユニオン(インディーズ・コーナー)、タワーレコード新宿店、タコシェ(中野ブロードウェイ内)等の店頭でも販売中。
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■「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」全曲高音質ダウンロード販売開始!特集記事も読めます。こちらから!(提供:OTOTOY) http://ototoy.jp/feature/index.php/20120326
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▼DANBALL BAT最新ライヴ映像V▼
「イージー・リスニング、ハード・リスニング」
(LIVE@UFO-CLUB 2013年2月)
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▼DANBALL BAT最新PV▼
「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」/ダンボール・バット
(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)
▼DANBALL BAT最新PV▼
「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」/ダンボール・バットfeat. イライザ・ロイヤル
(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)
▼DANBALL BAT最新PV▼
「シュトラウスは夜に殺せ」/ダンボール・バット(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)
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