2014年5月15日木曜日

家畜海峡を渡ったところでベースのミックスに悩まされトッド・ラングレンとアンディ・パートリッジのケンカの仲裁をした夜。


♪泣きながら豚のよに働く毎日・・・と、歌われる戸川純の心に染み入る名歌唱「家畜海峡」を朝から思い出す。連日の残業でクタクタでほんと家畜のように強制労働に従事する毎日。ブヒブヒ。今日も今日とて女上司に絞られてるのにニヤニヤしている推定36歳の小太りの男社員・・・通称、チャーリー・ブラウン。命の次に大事なのは家族でも子供でもなく「電卓」だといわんばかりに常に電卓を持ち歩き在庫がどうの効率がどうのと目を血走らせて気勢をあげる女社員。他にも珍獣、奇獣がひしめきあって右往左往のサマは正に「家畜海峡」の如し。そんなドロ沼のような海峡の中でいち派遣社員、いや、いち奴隷として、オレも浮いたり沈んだりアップアップしながらわずかな日銭を得るために労働に従事している。まったく、こんなことしてる場合じゃないのに。そう、「オレ」があと最低二人は欲しい。一人は昼間の奴隷労働に従事。もう一人は今粛々と進行中のわがダンボール・バットのニューアルバムのレコーディング作業を進め、もう一人は、こうしたブログやライヴ告知等々の諸々の雑務をこなす役割。とても一人じゃにっちもさっちもいかないのが現状。ちゃぶ台の2,3個もひっくり返したくもなるってもんです。いや、しかし、泣き言はいうまい。言わないと決心したのだ、あの日から(いつ?)。泣いたところで誰かが何かをしてくれるわけでもない。手を差し伸べてくれるわけでもない。家畜海峡の只中で屍(しかばね)になるのもまた運命。己の宿命かな。さあ野郎ども、今日も残業だぜ!!ブヒブヒブヒ・・・

前回のブログの続きでもあるが、ウチのバンドのベース氏が貸してくれた小沢健二の例のCDをまたちょろっと聴いている。ベースのミックスがデカいので有名な例のCDである。いやベースがデカいんじゃなくって他の音や歌が遠慮しているとも言える。ベーシストのリーダー・アルバムならまあベースの音をちょっと他の音より主張させてみようっていうのも分かる。1980年を挟んだパンク・ニューウェイヴ期にはベースのデカさを売りにしたバンドもいた。しかし、ここでの主役はヴォーカリストたる小沢君だし、パンクやニューウェイヴに繋がる匂いは皆無だし、ましてやベースがサウンドの根幹を成すレゲエやDUBとも無縁。なのになぜにベースの音がデカいのか?いやまあ、小沢君が単にそういうミックスにしたかったんだろうからオレがとやかく詮索したって仕方ないこと。いずれにせよどうでもいいことなんだが、まさに、ウチのバンド、ダンボール・バットのニューアルバム「壊れたカセットはAOR」の只今レコーディングの真っ最中で、つい先日、ドラムの録音に引き続きベース氏を我が家のお座敷スタジオに招いてベースのオーバー・ダビングを行ったばかりのところで、ことさら件のベースのミックス加減が気になったのだ。
小沢君のCD・・・ベースの音量のことはともかく、それに「好き嫌い」は別として、そのスカスカなアレンジ・・・とくに冒頭の曲などは案外参考になるかもしれない・・・今回のダンボール・バットのニューアルバムのレコーディングに於いて。安易にキーボードとかで空間を埋めていないところが潔い。これは見習いたいところ。オレの悪いクセは、空間恐怖症ともいうべきもので、楽器と楽器の間のスキマが多いとなんか不安になってついついキーボードだの効果音だのギターを無理矢理ダブルにしたりして空間を埋め尽くさないと気が済まないタチなのであった。・・・「であった」と、あえて過去形にしてみたのは、今回のアルバムでは極力無意味な殺生・・・いや無意味な「重ね」は控えようとフィル・スペクターの写真を焼き捨ててまで心に誓ったのだ。
久々に夕べ、ダンボール・バットの前作「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」を通して聴いたのだが、とにかくなんでこんな音を詰め込んだのかと思うほどグチャグチャと無駄な音がこれでもかこれでもかと先祖の恨みでも晴らすが如き詰め込まれているのに改めて驚き、自分でミックスしておきながら今更ながらに辟易してしまったのだ。普段自分が聴いてるレコードとかでも、どちらかといえば音が過剰に詰め込まれたような楽曲が好きだった。いや、今も好きなのだが、最近はそれとは逆に、「引き」の美学、マイナス・・・つまり音数を減らしてゆく美学というものにも憧れるようになった。とはいえ、口で言うのは簡単だが実際やってみるとこれはなかなかにハードルが高いことなのだと思う。音を詰め込んでいくのは案外簡単で誰か止めてくれる人がいなかったら、たった1曲のために100トラックでも200トラックでも音を重ねてしまうタイプの人間なのだ、オレは。が、幸か不幸か、現在オレがバンドのレコーディングに使ってる機材・・・旧石器持代のハードディスク・レコーダーはたったの16トラック(!)しかないので、自然と重ねられる音数が制限されるのだが、昨今のトラック数無限大のDTMであったら今頃大変なことになっていたであろう。
いずれにせよ、今回のアルバムは極力音数を抑えるのが自分に課した命題。しかし、オレの中に流れる「過剰にやらなきゃ気が済まない血」がそれを許さず、いざフタを開けてみたら、結局グチャグチャになっていた・・・なんてことにもなりかねない予感も拭いきれないのであった。
そういえば、ちょっと前にこんな夢を観た。見知らぬミキシング・エンジニアが出てきて、そいつとオレとで夢ん中で口論になったのだ。なんでも著名なエンジニアらしく、そいつが、ウチのニューアルバムのドラムのミックスを勝手に始めたのだ、頼んでもいないのに。しかも、なぜかそいつは「料理」とミキシング作業とを並行してやり始めたのだ。隣のキッチンへ行ってなにかをフライパンで炒めたと思ったら、こっちに戻ってきてオレの機材のツマミ類を勝手にいじる。しばらくいじるとまたキッチンへ戻ってゆきなにかを炒めている。そして、また戻ってきてミックスの続きを始める。これにはオレもブチ切れて、「料理なんかいいからさ、ミックスだけ集中してやってくれよ!!」と。すると、そいつは黙々とミキシング作業だけに専念。しかし、やがてそいつが完成させたドラムの音は、オレの思い描いていたサウンドとは似ても似つかぬサウンドで、そこで口論になったのだ。もっとスネアの音をこーしてくれ!とか、タムの音をあーしてくれ!とかそいつに言うのだがそいつも一歩も譲らない。まさに一触即発の様相。まるで、XTCのアルバム「スカイラーキング」制作時の有名な逸話・・・プロデューサーのトッド・ラングレンとアンディ・パートリッジとの確執の一件を思い出さずにはいられない。こんな夢を見たのも、最近、久々にXTCの伝記本「Chalkhills And Children」を引っ張り出してきて読み返していたせいだろうか。かの本にはトッドとアンディとの衝突の一件についても詳しく触れられていて、個人的には特別にXTCのファンってわけでもないのだが、なかなかに面白い。アンディ・パートリッジの「音楽」に対する偏屈ぶりも楽しめる。そういえば、ダンボール・バットの前回のアルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」の地獄のようなレコーディングの時にも常に自分の傍らに置いておいて、疲れるとページを開き、何かバイブルのような思いで読んでいたのを思い出した。

「くたばれキャベツ野郎」・・・今、まさにこのブログを綴りながら聴いているのは、我が師、ゲンズブールのコンセプチュアルかつアートロックな76年発売のアルバム。歌というよりほぼ全編「しゃべり」だ。オケに乗せてボソボソボソと囁くようにタバコ臭い息でフランス語を繰り出す。それにしてもこのアルバムもバランスが少々おかしい。デカいのだ。いや、ベースの音がじゃなくって、ゲンズブールの声が。まあ、アルバムの主役たる声がデカいってのは別におかしなことではないか。しかし、ドラムなんかの5倍くらい声のほうがデカいから相当なもんだ。まさにそそり立つ性器の如し。まあ、オレ様の歌(声)を聴け!ってことなんだろう。ゲンズブールだから許される芸当かもしれないが、これくらい声がデカくてもいいのかもしれない。ミキシングの参考にしよう。
いずれにせよ、ダンボール・バットのニューアルバムは問題作になることは間違いないだろう。いや、そうならなければ困るのだ。なんていったて、オレの「辞世の句」ならぬ「辞世のアルバム」になるハズだからだ。そして、完成するその日まで、オレは今日も家畜海峡で浮いたり沈んだり、まるで金子光晴のウンコの詩のように。とうとうアナタのウンコになりました。

★今夜のBGM
初公開!ダンボール・バットのこの冬完成予定のニューアルバムにして問題作「壊れたカセットはAOR」の冒頭を飾る書き下ろしデュエット曲。デュエットのお相手は只今売り出し中の宅録系イイ女の碧衣スイミング。曲名はサリンジャーの短編「バナナフィッシュにうってつけの日」となぜかルー・リードの「パーフェクト・デイ」が合体し、曲中、メタル・マシーン・ミュージックの断片が顔をのぞかせる仕掛けでコケオドシ。













▼今後のイヴェント色々決まってます。

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「ダンボール・バット」ライヴ
6月15日(日)
@東高円寺UFO-CLUB
競演:サエキけんぞう&boogie the マッハモータース、他
※詳細確認中

7月8日(火)
@渋谷ラストワルツ
雑誌「TRASH-UP!!」+ダンボール・バット共同企画イヴェント
【ニューウェイヴ天下御免VOL.7】
DJ:屑山屑男(TRASH-UP!!編集長)
※詳細調整中

「AMIの音楽トークショー」
6月27日(金)
@高円寺・円盤
出演:AMI、屑山屑男(TRASH-UP!!編集長)
※AMIのソロユニット「ネオン警察」のミニ・ライヴ・コーナーあり





お問い合わせは▼こちらのフォームから
http://www.formzu.net/fgen.ex?ID=P39590588



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【お知らせ】
ダンボール・バットでは女性キーボード奏者急募中(サポートOK)!
お気軽にお問い合わせください。
こちらから▼


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▼リーダーAMIのソロユニット「ネオン警察」1stCD「空間の犯罪」発売告知PV
▼アマゾン
▼ディスクユニオン

2013年7月27日発売/全10曲(42分)/¥1200+税/歌詞付/
CD「帯」推薦文:直枝政広(カーネーション)
解説:岡村詩野(音楽評論家)/
ライナー寄書き:蔦木俊二(突然段ボール)、
屑山屑男(「TRASH-UP!!」編集長)
ジャケット写真:AMI/デザイン協力:嶋田真由美(「TRASH-UP!!」デザイン室))


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◆ダンボール・バットでは、イヴェントへの出演依頼随時募集中。お問い合わせはこちらから
◆ダンボール・バット公式サイト


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▼ダンボール・バットNEW ALBUM告知CM
 
▲『馬鹿ヌーヴェルヴァーグ』  ▲品番:TSR69002/発売:東京産業レコード ▲2012年1月31日発売▲全11曲(約42分)収録 ▲録音・ミックス・プロデュース・作詞作曲:AMI▲W見開き紙ジャケ仕様/歌詞カード付▲CD帯コピー文:ROLLY(ローリー) ▲ジャケット写真&デザイン:常盤響▲ライナー:岡村詩野&湯浅学 ▲寄書き:白井良明(ムーンライダーズ)&サミー前田▲ゲスト・シンガー:ジョン<犬>&イライザ・ロイヤル(エコダムド/ex穴奴隷) ▲サポート・コーラス:MARI(BLACK&BLUE) <以上・敬称略> ▲収録曲 「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」「ファッション革命」「滿民の敵」「シュトラウスは夜に殺せ」「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」「狩人だから」、他全11曲 ▼下記各オンラインショップにて販売中! [AMAZON][TOWER RECORDS][DISK UNION][楽天ブックス]  ※ディスク・ユニオン(インディーズ・コーナー)、タワーレコード新宿店、タコシェ(中野ブロードウェイ内)等の店頭でも販売中。 ---------------------------------------------------------------------------------- ■「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」全曲高音質ダウンロード販売開始!特集記事も読めます。こちらから!(提供:OTOTOY) http://ototoy.jp/feature/index.php/20120326    --------------------------------------------------------------------
▼DANBALL BAT最新PV▼  「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」/ダンボール・バット (アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)      ▼DANBALL BAT最新PV▼  「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」 /ダンボール・バットfeat. イライザ・ロイヤル (アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)      DANBALL BAT最新PV▼ 「シュトラウスは夜に殺せ」/ダンボール・バット (アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)  
 
  

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