どこぞのニューヨークあたりの地下の一室でピアノに向かうチャス・ジャンケル(「愛のコリーダ」でおなじみの)のジャケットにこんなのなかったか?或いは白壁に映る己のシルエットに坂本龍一「音楽図鑑」のジャケットでも気取っているのか、この男・・・。
嵐を呼んだのはオレです。先週の土曜日、世間が台風並みの暴風雨だの、春の嵐だのと、大騒ぎしているまさにその最中、我がやさぐれピアノ弾き語りユニット「ネオン警察」の第2回目のライヴが八丁堀にある「七針」と名付けられた小さな地下の異空間にて粛々と決行されたわけであります。この写真はリハーサル時、ピアノに向かうオレであります。背中には物言わぬ哀愁と鬱積した憎悪のようなものが漂っております。ステージの冒頭1曲だけは完全オレ一人で弾き語ります・・・という予告どおり、この日は早川義夫氏の名曲♪「知らないでしょう」を披露。そのリハーサルの図であります。
この日のステージ。結果から申しますと、去年の暮れに新宿で行った初ライヴがアレはママゴトだったのでは?と、あの日のライヴに来ていただいたお客さんには大変申し訳なくなるような、格段の進化を遂げた緊張感溢れる濃密なステージとなりました。本番数日前に短時間のリハーサルを1回しかしていない上に前回のライヴから4ヶ月近いブランクが空いているにもかかわらず、相方であるピアノ担当のMARIとのコンビネーション、間合いの取り方の妙は目を見張るものがありました。また、この日の音響、照明を含めたハコの雰囲気も我々に味方してくれたのは言うまでもありませんが、いずれにせよ、オレの思い描く「ネオン警察」としての理想の(そんなもんあるの?)ステージングにライヴ2回目にして一歩近づいたような手ごたえを感じたのであります。
さらに今回強く感じたのは、普段のバンド編成(「ダンボール・バット」)でのライヴでは味わえない独特の緊張感とライヴ後の放尿感、いや、達成感。それは誤魔化しが利かない、パフォーマーとしての真価が問われる、歌とピアノだけという、言うなればフンドシ一丁裸一貫のパフォーマンスだからこそのものなのかもしれません。これは正直クセになりそうな味わいであります。なんか急にバンドよりこっちのほうが面白くなってきちゃったなぁ、ボク。ええ?バンドは休止してネオンに専念するってのもあり?なんて言ったらメンバーに叱られますな。エヘヘ。それに、まだ、懸案のネオンの1枚目のCDも現在製作中だっていうのに(一応、今年の6月発売予定ですが・・・)、早くも次のアルバム・・・バリバリのライヴ・アルバムが作りたくなってきちゃいましたゼ!!
今後の課題としましては、ライヴでの即興性を活かせるようなタイプの曲・・・例えば、今回のライヴでも披露した10分を越える大曲♪「キャバレェは雪国」のような、曲中にピアノとオレの吹くSAXがフリージャズ風情に絡む場面が登場するような曲とかね、そういったハプニング的な要素を孕んだ曲、そういう曲を増やしてゆきたいものです。なんていうと、「今度は私に何をやらせるつもり?」と、MARIの不安が半分、不満が半分の困惑した顔が今にも目に浮かんでくるようです。すまない、MARI。苦労かけます。
春の嵐を呼んだのはオレ。その嵐の中に自ら身を投じたこの夜のライヴ。ステージの後、オレの耳殻の奥では<嵐の晩が好きさぁ~>と早川義夫氏が不敵に歌うジャックスの♪「マリアンヌ」が轟音で木霊していたのは言うまでもありません。オレの歌声に絡みつくピアノの不協和音。懐に忍ばせたテルミンの不敵な電子音。むせび泣くアルトサックス。オレとMARI、オレと客席、オレと宇宙、オレとハエ、オレとゴミ、オレとミミズ、オレと電波、オレとその他目に見えない色々なものが対峙し、情念と情念がぶつかり合い乳繰り合いウエハース状にとぐろを巻き狭い地下空間を塩っ辛い濁り水で水浸しにした呪われた夜でありました。
帰り際、ふと初対面の客人に声を掛けられました。客人曰く、ステージで歌うオレの姿に、往年の原田芳雄の姿を観た、とのこと。いやはや恐れ多いおホメの言葉、有難き幸せ。100万年早いぜベイビー。そして、その客人がオレに原田芳雄を観ていたころ、オレはステージで汗だくになりながらMARIの弾くアップライト・ピアノの背後からタバコをくゆらせながらじっとオレを見つめる二つの目・・・全身黒尽くめの浅川マキの姿を目撃していたのです。確かに一瞬、マキさんがそこに立っていた。あれは幻では、ない。
追伸:
この夜のイヴェントの主催者でもある蔦木さん率いる芸歴(?)36周年を誇る大御所「突然段ボール」の息の合った演奏も実にお見事でした。ねじれているのにポップ。切ないのにやっぱりねじれているというエッシャーのだまし絵のような摩訶不思議なロックは「突段節」としか言いようの無い世界。途中挟まれる蔦木さんのMC・・・ヤク中(抗ウツ剤)、アル中、恋の病等々の自虐的ネタ、とても他人事とは思えませんでした(笑)。どうぞくれぐれもご自愛くださいませ。また何時の日にか共演を。そして、その他の共演者の方々、また、悪天候の中足を運んでくださったお客さん方に多謝。そしてなにはさておきMARIに多謝多謝多謝。
★今夜のBGM★
さっそくこの日のステージの模様をお届けします。知人の全身網タイツのシャンソニエ、蜂鳥あみ太くんにも大評判のオリジナルナンバー♪「冬の蠅」。MARIにはピアノぶっ壊してもいいからもっと粗暴に弾いてみてくれないか、と注文。それが功を奏したかこの逆噴射家族。グレイト。オレのニセ・テルミンもいい具合に鳴いてくれとりますワイ。なんだか70年代末のノー・ニューヨーク一派の香りもそこはかとなく夜露死苦東京ロッカーズ的な映像ですなお父さん。おでんを肴にクダ巻いてるアラン・ヴェガみたいな、ね。
♪冬の蠅(I'm Fly)/ネオン警察(LIVE 2013/4/6)
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■次回「ダンボール・バット」ライヴ情報
2013年5月16日(木)
東高円寺UFO-CLUBにて
雑誌「TRASH-UP!!」+ダンボール・バット共同企画第3弾!!
【ニューウェイヴ天下御免 VOL.3】 ※詳細調整中!
DJ>屑山屑男(編集長)
LIVE>ダンボール・バット、他
PM18:30 OPEN / PM19:15 LIVE START / PM11:00 CLOSED
前売り予約¥2000 当日¥2300
※いずれも別途要ドリンク代500円
お問い合わせは、ここをクリックして専用フォームからどうぞ
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▼ネオン警察1stCD「空間の犯罪」発売告知PV
2013年6月発売予定/全10曲(42分)/¥1200+税/歌詞付/
CD「帯」推薦文:直枝政広(カーネーション)
解説:岡村詩野(音楽評論家)/
ライナー寄書き:蔦木俊二(突然段ボール)、
屑山屑男(「TRASH-UP!!」編集長)
ジャケット写真:AMI/デザイン協力:嶋田真由美(「TRASH-UP!!」デザイン室))
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◆ダンボール・バットでは、イヴェントへの出演依頼随時募集中。お問い合わせはこちらから
◆ダンボール・バット公式サイト
http://danballbat.cside.com/
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▼ダンボール・バットNEW ALBUM告知CM
▲『馬鹿ヌーヴェルヴァーグ』 ▲品番:TSR69002/発売:東京産業レコード
▲2012年1月31日発売 ▲全11曲(約42分)収録
▲録音・ミックス・プロデュース・作詞作曲:AMI
▲W見開き紙ジャケ仕様/歌詞カード付
▲CD帯コピー文:ROLLY(ローリー)
▲ジャケット写真&デザイン:常盤響
▲ライナー:岡村詩野&湯浅学
▲寄書き:白井良明(ムーンライダーズ)&サミー前田
▲ゲスト・シンガー:ジョン<犬>&イライザ・ロイヤル(エコダムド/ex穴奴隷)
▲サポート・コーラス:MARI(BLACK&BLUE) <以上・敬称略>
▲収録曲
「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」「ファッション革命」「滿民の敵」「シュトラウスは夜に殺せ」「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」「狩人だから」、他全11曲
▼下記各オンラインショップにて販売中!
[AMAZON][TOWER RECORDS][DISK UNION][楽天ブックス]
※ディスク・ユニオン(インディーズ・コーナー)、タワーレコード新宿店、タコシェ(中野ブロードウェイ内)等の店頭でも販売中。
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■「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」全曲高音質ダウンロード販売開始!特集記事も読めます。こちらから!(提供:OTOTOY) http://ototoy.jp/feature/index.php/20120326
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▼DANBALL BAT最新ライヴ映像V▼
「ファッション革命」/ダンボール・バット(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」収録曲・2012年2月16日レコ発イヴェント時の映像)
▼DANBALL BAT最新PV▼
「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」/ダンボール・バット(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)
▼DANBALL BAT最新PV▼
「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」/ダンボール・バットfeat. イライザ・ロイヤル(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)
▼DANBALL BAT最新PV▼
「シュトラウスは夜に殺せ」/ダンボール・バット(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)
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