2011年1月31日月曜日

森繁久彌 に逢った夜。

昨日の会社の朝礼。上司(正確には上司の上司)が何を挨拶で話すのかと思いきや自分が先日観てきたという今公開中のいかにもつまらなそうな列車事故を題材に取ったハッリウッド産某アクション映画の話を唐突にし始め、日頃会社の業務の中で起こりうるミスや失敗を未然に絶つにはどうしたらいいかというような事をその映画のストーリーに重ね合わせた教訓めいたものを大真面目にやり出したわけです。これには思わず閉口。朝からタップリ塩の入ったコーヒーを飲まされた気分でした。係長、課長、部長、社長・・・とかく、「長」の付く人間はこういう演説をぶつのが日々の日課というか趣味というか生き甲斐になっているみたいですが、聴かされる側はたまったもんじゃありません。それで部下がついてくると思っているのですからなんとも幸せ者としか言いようがありません。そういう人間にだけはなりたくないなと思う自分は一生一奴隷、生まれつき人の上には立てない人種なんだと思います。

夕べ夢に森繁久彌 と三木のり平が出てきました。オレが泊まっていた大きな旅館が火事になり取るものも取らず浴衣姿のまま大慌てで建物の外に飛び出すと、森繁久彌 と三木のり平がまるで映画「社長シリーズ」で観たワンシーンのようにドタバタ劇を演じながらオレの前を走っていくのです。いくら年末年始にかけて立て続けにケーブルTVで「社長シリーズ」を観たからと言ってなんで今頃夢に出てきたのか不思議です。事もあろうに本日はウチのバンド「ダンボール・バット」のニューアルバムに向けたドラムの再レコーディングを決行する重要な日。わざわざそんな折を狙って夢にモリシゲが降臨とはどういう意味か?何かのお告げか?虫の知らせか?

「社長シリーズ」でのモリシゲ演じるあんな人間味溢れるスカポンタンな社長だったらきっと冒頭に挙げたようなくだらない挨拶なんてしないんだろうなとふと思ったわけです。こんな社長になら例えスルメイカのようにのされても一生付いて行きたいもんです。ぢゃ、本日、ドラムの再レコーディングのため地獄の3丁目まで行ってまいります。こんな日記書いている場合ぢゃありません。
社長に敬礼。

※映画「社長シリーズ」についてはこちらを参照

◆今夜のシネマ

2011年1月25日火曜日

惣菜ブルース。

またアノ人の歌が流れている。うちの近所の場末のスーパーの夜7:00を過ぎると始まる惣菜コーナーの割引タイムセールを狙っての殺気立った人だかりにまぎれて天ぷらだのコロッケだの煮物だのの50%引きのシールが貼られた惣菜のパックの山を物色中にまたもアノ人の歌がオレの耳に流れ込んできた。イラだたしい気分に襲われ惣菜パックの山を床一面にブチまけたい衝動にかられる。ちょっと前にも本屋でお目にかかった。某音楽雑誌の表紙に目をひん剥いてポーズを取り、それこそ現代の日本のロック界を代表するバリバリの「ロッカー」的な扱い方で写っていたアノ人。3コードの(しかもコード進行もほぼ一緒!)同んなじような曲を既にウン十年以上もの間に何百曲何千曲と作り続けているアノ人。ある意味、古賀政男もビックリのギネスブック級の偉業かもしれない。「3コード以上使えばそれはJAZZだ」とかのルー・リードが言ったとか言わなかったとか。そういう意味ではアノ人の作る曲は純然たるロックなのかもしれない。その上、歌詞の内容と言えばオレに言わせればどれもこれもコドモ向けの陳腐な人生の応援歌風情ときている。これでバリバリのロッカー気取りもいかがなもんか?と、ついいつもの心の中のオレのボヤキ節が始まる。片や音楽雑誌の表紙を飾り、片や昼間のゴミ労働ですっかり精気を吸い取られクタクタになった体を支えながら半額になったこれまたクタクタになった天ぷらやコロッケや煮物とにらめっこ。ROCKって一体何ですか?

「もしもし・・・。ワイルド・サイドを歩き続けるのも疲れますね、ルー!」
心ん中で、その時、真っ先にルー・リードんちに電話をかけていたオレ。
スピーカーからは相変わらずアノ人の歌。
「アンタどうでもいいけどさ、気安く“頑張れ!”なんて歌うもんじゃないヨ」。

オレのボヤキは止まらない。


▼今夜のBGM
「頑張ってください」とか「頑張りましょう」という言葉は本来気安く使うべき言葉ではないのだ、と、いうことをこの曲から学びました。少しは心を痛めてください。
♪「誰を怨めばいいのでございましょうか」/三上寛

2011年1月19日水曜日

伊達直人もウォシュレットを使うのか?

アニメ「タイガーマスク」の主人公「伊達直人」を名乗り、誰かが匿名で児童相談所の玄関前に新品のランドセルを置いていったという心温まるニュースが新年早々TVを沸かせていたことはまだ記憶に新しいところです。あれも最初の1件だけだったらそれこそこの殺伐とした現代社会の中で随分気の利いたことをする人もいるもんだな、と、素直に「美談」で終わらせることができたわけですが、ああも、その後全国でそれをマネた「事件」が何十件と起こると、正直それらの便乗犯に対し心の中に薄ら寒いモノを感じたのはオレの心が病んでネジ曲がっているせいなのかもしれません。それにしても、みんながみんな「伊達直人」を名乗るという他人のアイデアをそのまんま盗用しただけの能の無さというかセンスの無さ。それがオレの中の薄ら寒い気持ちに更に拍車をかけたわけです。例えば同じ「直人」でも「菅直人」より・・・と書いた人はいなかったのでしょうか?他にも「ドラえもん」よりとか「ローマ法王」よりとか「イメルダ夫人」よりとか色々あるわけで、ちょっとはユーモアを利かせて欲しかったものです。ところで、オレが以前住んでいたアパートの玄関前にウンコが落ちていたことがありました。それはイヌ・ネコのたぐいのモノではなく立派なニンゲンのオトナのトグロを巻いた大便でした。いくらウチの玄関が通りから死角になっているとは言えヒトんちの玄関の前に大便を置いていくとはよっぽど緊急を要していたということなんでしょう。しかし、なんでオレの部屋の前だったのか、もっと奥の部屋のほうがより死角で安全だったと思うのですが、きっとウチの前で感極まりそこで果ててしまったのでしょう。それにしても、あれは今もって思い出すたび不愉快でもあり同時に不可解な事件だったわけですが、あれも、どこぞの、伊達直人の仕業だったのでしょうか?いつか名乗り出てもらいたいものです。


さて、ウチのバンド「ダンボール・バット」のニューアルバム完成に向けた地獄のレコーディングの進捗状況ですが、昨日、コーラス録りが無事終了。ウチのキーボードのROSEと昨年ウチのライヴに奇抜な衣装とメイクで参加し客席を沸かせてくれたMARI嬢の二人をメインに、一部、ウチのベースのNEU!と新ドラマーのEMILY-PLAYにも参加してもらっての録音でした。コーラスが収録されたことにより、それぞれの曲の完成形が少しずつではありますがより鮮明になってきた感じです。先のドラムの一件で正直心が折れそうになっていたところですが、不時着寸前の飛行機が機体の腹を地面に擦り付けながらもなんとか空中に踏みとどまり、わずかな上昇気流をつかまえてまた少しづつ高度を持ち直し始めた・・・そんな所です。その懸案のドラムの件も結局前回の日記の通り「再レコーディング」を敢行することに決定。日程も2月1日に決まり、前回の録音の時より1時間多く時間を取り7時間体勢で臨みます。そして、それに向けて前回の録音の反省点を書き出し、録音に関する参考書を読み直し、更には、あってもなくてもいいようなゴミのような機材の数々をナケナシのカネをはたいて追加購入。それもこれもオレのドラム再録音にかける薄っぺらい意気込みの表れです。



▼今夜のBGM▼

オレの好きなシンガーの一人。カナダ出身、元ポルノ男優って噂。こんなタンゴで泣かせてみたい。誰を?
♪ハスラーズ・タンゴ/ルイス・フューレイ

2011年1月12日水曜日

全て水に流せ。

阿呆と呼ばれてもいい。馬鹿呼ばわりされても結構。妥協はやっぱり出来ない。いや、妥協するしないというレベルの問題じゃないでしょ、これ。妥協以前です。紅ショウガ1本とか2本とかの違いのレベルの話(前回の日記参照)どころではない。こんな中途半端なもの世間にさらすわけにはゆきません。デモ・テープ作っているんじゃないんですから。アルバムをリリースした後でここはもっとこうしておくべきだったとか、録り直しておくべきだったとか、そういう後悔をこの先ずっと引きずって生きていくのはご免です。後々出来るだけ後悔を生まずに済むよう最後まで八方手を尽くしとことんまでやってみるべきではないのか。それが自己満足と言われようが、それが一銭の得にもならない事だろうが、そして、それがどんなくだらない、どんなにゴミのような曲であろうが!!


去年の秋の終わり頃から始めた我がバンド「ダンボール・バット」のニューアルバムのレコーディング。最初に録音したドラムの編集&修正作業にその後の大半の時間を割かれたもののその作業も一旦は完了し、その後、ギターとベースをオーバーダブ。あまりにも過酷な連日のレコーディング作業のため、録音機械もそれを操る人間(オレ)も途中泡吹いてダウンするというアクシデントがあったもののなんとか乗り越え年越し。そして、来週にはキーボードとコーラスのオーバーダブを、という段階にまで辿り着いた今になって、ドラムの「ほころび」が新たにあちこちで発覚。バラバラで録ってあるドラムの各パーツの音をバランスを取りながら2チャンネル(ステレオ)にまとめるという作業を年明けからやっていたのですが、その一連の作業の中での発覚。しかし既に修正しようにも修正しきれない段階まできており、じゃあ、これで妥協するのかオマエ?と自問自答。なんとか自分の耳をごまかそうとドラムの音から注意を逸らせて他の音を聴こうと努力をしてみるも、生まれついてのつまらない意地と頑固なこだわりと腐れプライドがムクムクと鎌首を持ち上げだし、そうなるともうコントロール不能。編集作業のため一日中同んなじ曲をヘッドフォン越しに軽く百回以上大音量でプレイバックしながら聴き続けたために半分馬鹿んなってる耳の奥で、そして放心状態の心の中で葛藤、葛藤、また葛藤。今、目の前のスピーカーから聞こえているドラムの音、そしてプレイは120歩譲っても自分の納得できるギリギリのラインにはまだまだ遠い音。このまま、妥協して作業を進めるのが得策か、この2ヶ月間、動悸・めまい・吐き気に襲われながら続けてきた編集作業を全て「おじゃん」にしてまででも新ドラマーを起用して録音をやり直すのか?。キチガイ!アホ!スカ!アンポンタン!この2ヶ月の徒労が脳裏をかすめてゆく。こんなことならもっと早く決断すべきだった。しかし、一晩寝て、オレの気持ちは既に8割方一つの答えのほうに傾き出しています。それは「やり直す」。今回の問題点はプレイヤー側の非だけではないことは明白。プロデューサー、録音技術者としてのオレの未熟さ非力さが多分にあるわけです。人間は失敗を経験して成長すると申しますが、この録音も、やり直すからには成長の跡を残さなければなりません。この2ヶ月間のゴミのような苦渋の日々をも肥やしに替えて再レコーディングに臨まねばなりません。全曲録り直すのか、一部に留めるのかは検討中。ただ、既に録音の終了しているベースとギターについては問題ないのでそのまま使用。来週録音を予定しているキーボードとコーラスについても予定通りに執行。ドラムを録り直すとすれば2月に入ってからになる予定。1月中には全ての録音を終わらせるという当初の計画も水の泡。春が来て、夏が来て、秋が来て、また冬が来て。このアルバムが陽の目を見るのは果たしていつになることか、誰にも分からない。人間だもの。天国のブライアン・ジョーンズにでも聞いてみてください。



▼今夜のBGM
こんなクソっ寒い、こんな全てがイヤんなるシケった柿の種のピーナッツみたいな夜は、安酒チビチビ、こういう曲でも聴いて、永遠にやさぐれていたい気分。

2011年1月5日水曜日

オレとアンディと紅ショウガと。

正月の休みの間の約2日と半分ほどを費やして、¥1500のアコースティックギターと格闘。結果なんとか妥協できる音が録音できたところです。年末に一人スタジオにこもってちゃんとしたマイク(シュアーのゴッパチ)で録音したヴァージョンが気にいらず(いや、それ以前に、ウチのバンドのギターの奴に弾いてもらったテイクがあったのですが、それも気にいらず・・・)、結局、ウチの部屋でどこのメーカーかも分からない千円くらいのオモチャみたいなマイクにこれまたオモチャみたいな真空管のプリアンプをかませて、当然、「防音設備」など無いガラクタに埋もれた部屋で、家のすぐ近くを通ってる青梅街道を行き交う車の騒音も気にせず強行録音。マイクの角度を変えたり弾き方を変えたり逆立ちしたり発狂したりしながら試行錯誤の末に完了。納得いかぬ部分が無いとは言えないのですが、妥協というか引き際というか最後はある程度の「あきらめ」が肝心なわけです。特にオレみたいにレコーディングの大半の時間を一人でやっていると、ついつい作業に没頭し客観的に見れなく(聴けなく)なり、他人から見ればどーでもいいような細かい部分ばかり気になってそこだけ永遠とこねくり回し悩み・・・・・・例えば、お客に出す焼きソバに乗っける紅ショウガの本数は30本がいいのか31本がいいのかを永遠と悩んでいる中華料理屋のコックのようなもの・・・・・・結局収集がつかなくなるといった悪循環に陥ることしばし。徹底的にやらなければ気がすまないというオレの貧乏人特有のつまらぬ性格にも関係しているわけですが、適当なところで妥協していかないと、こんなペースで録音を進めていたらアルバム1枚完成させるのに何年かかるのか分かったもんじゃありません。基本的にダンボール・バットが目指しているのは「ROCK」(!)のアルバムなわけですから、あんまり細かい部分ばっかりミチミチといじくりまわしていても、ただでさえショボイ音が精神的な部分も含めて余計みみっちくなりそうですからね。ザックリと行く所はザックリと行かないとミック・ジャガーに怒られます、と、頭では分かっているのですが、ミキサー卓の前に座って納得いく音が出来るまで一日中バス・ドラムの音だけ聴いていたっていうアンディー・パートリッジ(XTC)の偏執狂的な血がオレの体にも流れていることも事実なのですが、それは天下のアンディー・パートリッジだから有効なわけで、そんな血、たとえオレに流れていても一銭の得にもなりゃしません。



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▼今夜のBGM
年末からオレの頭ん中でリフレイン。なんてことのない、たったギター一本の弾き語りが時に胸を打つ。

2011年1月3日月曜日

岡千秋、パブ・ロックを歌う。

スカイツリーがいつ倒壊するのか期待と不安の入り混じる2011年新年、昨晩見た初夢には我が敬愛するシンガー、レナード・コーエン氏が登場。なぜか居酒屋の店先で、オレは学校のクラスメイト(?)と思わしき数人と共に立ったまま英語の教科書の読み合わせ中。その中にレナード・コーエン氏も居合わせて、彼があのドスの効いた低音ヴォイスで英語の教科書をツラツラと読み出してオレも必死で教科書の英文を眼で追いかけて・・・って意味不明の夢。その夢であと覚えているのは、小便をするためにその居酒屋の便所へ入ったのですが、床が斜め45度に傾いたベニヤ板を打ちつけただけの掘っ立て小屋みたいな便所でそれが2階から空中にせり出している格好で、しかも水洗でなく汲み取り式。小便をしようとバランスを取るのに必死のオレ、傾いた床は既に他人の小便でグショグショに濡れてて・・・って、寝ながらよっぽど尿意をもよおしていたのか、危うく「寝小便」だけは免れましたが、正月早々、敬愛するシンガーと小便まみれのめでたい夢に、今年こそはちょっとはマシな1年になるのだろうか、という淡い希望を持った初春です。

正月と言えニュー・アルバム完成に向けたレコーディング作業は細々ながら続行中。金箔入りの安酒をすすりながらカマボコをつまみ喰いした生臭い指で¥1500のアコースティック・ギターをジャカジャカとかき鳴らし録音するも、楽器がボロイのかオレの弾き方が悪いのか(多分、両方!・・・笑)何度やっても納得する音が録音できずたまらず発狂!。危うくギターのネックを壁に打ち付けてへし折りそうに!デヴィッド・ボウイやらニール・ヤングのレコード引っ張り出してきて自分で録音したギターの音と聴き比べて「クソ!」と絶叫。また、酒すすってカマボコつまんでギターをポロリ、発狂。ニック・ドレイクやらティム・バックリィも引っ張り出してきてギターの音を聴く。発狂。指が臭い。クソ!



追伸:レコーディングでヴァイオリンを弾いていただける方募集中!



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▼今夜のBGM
ニュー・イヤー・コンサートなどと称してクラシックの中でも当たり障りの無い一段とフヌケな曲ばかり集めて演奏する催しが世界各地で行われるこの時期。正月には、こと日本人なら、やっぱりこういう曲でシッポリとキメたいもんです。デュエットしているのはこの曲の作曲者でもある岡千秋。そのダミ声は、まるでハウリング・ウルフか場末のパブ・ロッカーかといった貫禄。