またアノ人の歌が流れている。うちの近所の場末のスーパーの夜7:00を過ぎると始まる惣菜コーナーの割引タイムセールを狙っての殺気立った人だかりにまぎれて天ぷらだのコロッケだの煮物だのの50%引きのシールが貼られた惣菜のパックの山を物色中にまたもアノ人の歌がオレの耳に流れ込んできた。イラだたしい気分に襲われ惣菜パックの山を床一面にブチまけたい衝動にかられる。ちょっと前にも本屋でお目にかかった。某音楽雑誌の表紙に目をひん剥いてポーズを取り、それこそ現代の日本のロック界を代表するバリバリの「ロッカー」的な扱い方で写っていたアノ人。3コードの(しかもコード進行もほぼ一緒!)同んなじような曲を既にウン十年以上もの間に何百曲何千曲と作り続けているアノ人。ある意味、古賀政男もビックリのギネスブック級の偉業かもしれない。「3コード以上使えばそれはJAZZだ」とかのルー・リードが言ったとか言わなかったとか。そういう意味ではアノ人の作る曲は純然たるロックなのかもしれない。その上、歌詞の内容と言えばオレに言わせればどれもこれもコドモ向けの陳腐な人生の応援歌風情ときている。これでバリバリのロッカー気取りもいかがなもんか?と、ついいつもの心の中のオレのボヤキ節が始まる。片や音楽雑誌の表紙を飾り、片や昼間のゴミ労働ですっかり精気を吸い取られクタクタになった体を支えながら半額になったこれまたクタクタになった天ぷらやコロッケや煮物とにらめっこ。ROCKって一体何ですか?
「もしもし・・・。ワイルド・サイドを歩き続けるのも疲れますね、ルー!」
心ん中で、その時、真っ先にルー・リードんちに電話をかけていたオレ。
スピーカーからは相変わらずアノ人の歌。
「アンタどうでもいいけどさ、気安く“頑張れ!”なんて歌うもんじゃないヨ」。
オレのボヤキは止まらない。
▼今夜のBGM
「頑張ってください」とか「頑張りましょう」という言葉は本来気安く使うべき言葉ではないのだ、と、いうことをこの曲から学びました。少しは心を痛めてください。
♪「誰を怨めばいいのでございましょうか」/三上寛
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