2013年9月24日火曜日

安藤昇から中川翔子の父まで数百円の音盤に宇宙と血と砂を見た夜。



 中古レコード店・・・まあ、オレの場合「ディスク・ユニオン」がもっぱら行きつけの店だが・・・へ行くとまず最初に向かうのは店の片隅やレジ前の足元にひっそり打ち捨てられ苔むしている100円盤コーナー。その次は300円盤コーナーやら500円盤コーナー。さらに3枚1000円盤コーナーと金額を上げてゆき、ひとしきり「ゴミ」の山を漁り尽くしてから、その後、ゆっくり一般のレコード棚を漁って行く。これがオレの、ゴミ・レコード収集家としてのルール(?)というか作法である。いや、たしかにゴミのようなレコードもたくさんあるのだが、その中にはけっこうなお宝・・・あ、オレにとってのお宝ってこと・・・も、潜んでいるわけで、世間にとってのゴミはオレにとっての宝でもあると。そんなゴミの山の中からお宝を探し当てたときの喜びはこれまたひとしおなのである。ゴミとは言ってもただ単に世間一般からは需要が無いというだけで、ユニークで個性的なサウンドの人知れず良質な盤が眠っていたりするからゴミ漁りはやめられない。アーチストの有名無名は関係ない。有名アーチストのレコードの中にも、コアなファンからは「従来のサウンドからかけ離れてしまった」がために黙殺されてしまったアルバムとかセールス的にボロクソだったアルバムとかもゴミの山に埋もれていたりする。案外そういうアルバムに面白いものがあったりするし、コアなファンが鼻ツマミするようなアルバムに魅力を発見してしまうというのはオレの屈折した音楽への愛情からか。また、ここで買い逃したらもう一生お目にかかることはないであろうというような盤にも出くわす確立が高いのもこのゴミの山である。日本人の歌手(グループ)なのに名前さえ聞いたこともないといった盤に出くわしたりもするし、また、スイスだの南米だの東欧だの普段米英のロックにしか慣れ親しんだことのない人間からすれば辺境と言っても過言ではない国々の怪しい盤たちにもお目にかかる。それらのレコードはある意味「希少盤」でもある。たった100枚しかプレスされていないってことだけで希少扱いされ中身はクソつまんないグチャグチャのギター垂れ流しのレコードに5万も10万も出すサイケ馬鹿とか、発売された国や年代やわずかなジャケットの印刷の色が違うってだけで同じアルバムを10枚も20枚も大枚はたいて買い求めるビートルズ馬鹿とか、そういう手合いが追い求める希少盤とは希少の意味が違うが、そんなマニアどもが追い求める希少盤よりゴミの山に眠る僅か数百円の希少盤のほうが遥かに価値のあるレコードのように思えてならない。少なくともオレにはとっては。
 ええと、なんの話だっけ?まあ、とにかく、これらの偶然にオレが拾い上げた100円やら300円などのレコードから学んだことは小さくなく、それどころか、オレが普段曲を作る際に全身の毛穴や前頭葉などから滲み出す音楽的なエッセンスやひらめきの大半は実はこれら安価で入手した名盤・珍盤・奇盤等々のゴミ・レコードからの影響によるものであると断言してもよい。ということは、世間から見捨てられたようなレコードばかり聴いてそれらの影響下で書いたオレの曲なぞが世間に受け入れられるわけがないのは当たり前やんけ、ということを間接的に証明しているようなもので、そんなことは馬鹿でも気がつきますわな。拾ってきたミカンの皮でジャム作ってさあ食べてください、おいしいから。と、言っているようなもんか(・・・“例え”がよくわかりませんが・・・)。
 そして、今日もまた、ゴミの山・・・スモーキー・マウンテンからまずまずの一品を掘り出した。300円コーナーから救出したのは全く見ず知らずのイギリス産(多分)のグループのLPで、見るからに購買意欲を打ち消すような意図不明のジャケット・デザイン(一般人が絶対手を出したくならないデザイン・・・これ重要!!)にオレの嗅覚が反応(永年のゴミ・レコード蒐集で体得したこの“嗅覚”、意外とヒット率高し!!)。そして、値札には店員によるこんな親切なコメントが・・・「“XTC”タイプのひねくれPOP」。で、発売年は・・・86年か。ギリギリだな(オレが愛する音楽の“ストライク・ゾーン”はだいたい70年代前半からせいぜい84,5年くらいまでのモノがメイン)。まあ、これが1000円もしたら絶対買おうとは思わないが、300円なら冒険してもいいかっていう気にもなる。普段でも千円以上するレコードやCDは滅多に買わないビンボー・ヤクザなオレも、300円なら“ジャケ買い”も抵抗ない。で、さっそく家に帰って聴いてみれば、これが苦笑いを誘うほどにたしかにXTCライクなサウンド。しかし、何かが足りない。華が無い。もう一つ決め手がない(ホメ言葉です・・・)。この決め手の無さがスモーキー・マウンテン行きの片道切符を手にするかしないかの分かれ目なのだろう。でもサウンド的にはいたって良質。B級の王道。これでいいのだ。こうして我が家の愚盤コレクションにまた1枚ゴミが増えるのである。
 さて、先週の週末、告知通りに高円寺のCDショップ「円盤」でオレ企画のトークショー【今夜は御意見無用】無事終了しました。実は、このトークショーの主旨は、上記に書いたようなゴミ・レコード、もう少しいい言い方をすれば時代の闇に埋もれたこのまま捨て置くには忍びないといったニッチなレコード(「ニッチ」とは「すき間」の意)を紹介しながらそれについてあーだこーだとユルイトークを交わしましょうってぇこと。トークの相手をしてくれたのは、我が盟友、雑誌「トラッシュ・アップ!!」の編集長・屑山屑男さん。なぜか好みの音楽・・・かなり特殊な音楽(ジャンル)にもかかわらず・・・がお互い絶妙に重なっているというだけでなく、屑山さんも日頃、ゴミ・レコード漁りに精を出しているらしく(なにせ名前が「クズヤマ」ってぇくらいですから!!)、こんなマニアックなレコードな話で盛り上がれるのは屑山さんしかいないという判断からトークのお相手をしていただいたのです。かけたレコードは安藤昇の任侠モノからピンクレディ解散間際の無機質なテクノポップ、中川翔子の父・中川勝彦のニューウェイヴ歌謡に、糸井重里、ダディ竹千代(ex東京おとぼけキャッツ)などの大物(?)から、スピカ、TAX81など詳細不明の日本のグループ、ルイス・フューレイの10年先を行くような屈折度のデヴィッド・エセックス、デヴィッド・ボウイ・フォロワー的名盤のDUFFOや、ロデリック・ファルコナー(プロデュースはピーター・アイヴァース!)、最上級のモダンポップを聴かせるザ・ルーモアーetc。イヴェント途中にはピアノ担当のMARIを迎えてオレのソロ「ネオン警察」のミニライヴを挟んでの約2時間があっと言う間でした。オレも前回のブログ通り精神状態はあまり良くなかったものの、朗読会前のブコウスキーよろしく開演前に安いワインを一気飲みしエンジンがかかったのか、舌のすべりもよく、今回のトークショーが2回目ということもあり、また、相手が気の置けない屑山さんということもあり、しばし、リラックスしながら御客さんそっちのけで楽しい一時を過ごしたのであります。屑山さんからは「AMIさん、トーク上手くなりましたね」とお褒めの言葉を頂戴しました。それでというわけではありませんが、今回の成功(?)に気を良くして同イヴェントの続編が次回12月18日(水)に同じく円盤で決定しました。さらに強力なレコードで御客さんを狙い撃ちしたいと思います。是非。(写真はイヴェントの模様。提供:小宮氏)

★「ダンボール・バット」の次回ライヴ情報更新しました。詳細は下記。なお、出演順番現在確認中です。


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★今夜のBGM★

イヴェントの最後にかけて好評だったこのナンバー。血肉沸き踊りながらもどこか郷愁を誘うホロ苦いサウンドはさすが巨匠モリコーネ。詳細不明の謎のイタリア映画「CANNIBAL」(‘69)のテーマ曲を原曲に忠実にかつキッチュ度を倍加させた幻の米インディーズグループ、JOB’S DAUGHTERSによる奇跡のカヴァー・ヴァージョン。EP盤のみでのリリース。
♪CANNIBAL / JOB'S DAUGHTERS('93)

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【お知らせ】
ダンボール・バットでは女性キーボード奏者急募中(サポートOK)!
お気軽にお問い合わせください。
こちらから▼
http://www.formzu.net/fgen.ex?ID=P39590588
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次回「ダンボール・バット」ライヴ情報:

10月14日(月・祝)@渋谷「ラストワルツ(旧「青い部屋」)
【東京電極VOL.14】
PM5:00 OPEN / PM6:00 START
※当ダンボール・バットの出演時間は現在確認中!最新のナンバーやります!
競演>
▼漏電銀座
(当ブログのページTOP画も描いていただいたマンガ家・逆柱いみり先生率いるバンド)
▼谷口マルタ正明(プノンペン・モデル)+山口慎一(ヤプーズ)+岩下達朗(VJ)
▼OMODAKA(寺田創一ユニット)、他
前売予約¥2000、当日¥2500(各別途Drink代500円要)

前売りのご予約はここをクリックして専用フォームからどうぞ


11月19日(火)@東高円寺「UFO-CLUB」
雑誌「TRASH-UP!!」&ダンボール・バット共同企画
【ニューウェイヴ天下御免VOL.5】
※DJ:屑山屑男(編集長) ※出演者調整中


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▼リーダーAMIのソロユニット「ネオン警察」1stCD「空間の犯罪」発売告知PV
▼アマゾン
http://www.amazon.co.jp/dp/B00DBEFLVK/
▼ディスクユニオン
ttp://diskunion.net/portal/ct/detail/IND12849

2013年7月27日発売/全10曲(42分)/¥1200+税/歌詞付/
CD「帯」推薦文:直枝政広(カーネーション)
解説:岡村詩野(音楽評論家)/
ライナー寄書き:蔦木俊二(突然段ボール)、
屑山屑男(「TRASH-UP!!」編集長)
ジャケット写真:AMI/デザイン協力:嶋田真由美(「TRASH-UP!!」デザイン室))






◆ダンボール・バットでは、イヴェントへの出演依頼随時募集中。お問い合わせはこちらから
◆ダンボール・バット公式サイト
http://danballbat.cside.com/


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▼ダンボール・バットNEW ALBUM告知CM
▲『馬鹿ヌーヴェルヴァーグ』 ▲品番:TSR69002/発売:東京産業レコード ▲2012年1月31日発売▲全11曲(約42分)収録 ▲録音・ミックス・プロデュース・作詞作曲:AMI▲W見開き紙ジャケ仕様/歌詞カード付▲CD帯コピー文:ROLLY(ローリー) ▲ジャケット写真&デザイン:常盤響▲ライナー:岡村詩野&湯浅学 ▲寄書き:白井良明(ムーンライダーズ)&サミー前田▲ゲスト・シンガー:ジョン<犬>&イライザ・ロイヤル(エコダムド/ex穴奴隷) ▲サポート・コーラス:MARI(BLACK&BLUE) <以上・敬称略> ▲収録曲 「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」「ファッション革命」「滿民の敵」「シュトラウスは夜に殺せ」「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」「狩人だから」、他全11曲 ▼下記各オンラインショップにて販売中! [AMAZON][TOWER RECORDS][DISK UNION][楽天ブックス] ※ディスク・ユニオン(インディーズ・コーナー)、タワーレコード新宿店、タコシェ(中野ブロードウェイ内)等の店頭でも販売中。 ----------------------------------------------------------------------------------  ■「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」全曲高音質ダウンロード販売開始!特集記事も読めます。こちらから!(提供:OTOTOY) http://ototoy.jp/feature/index.php/20120326 --------------------------------------------------------------------
▼DANBALL BAT最新PV▼ 「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」/ダンボール・バット(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)   ▼DANBALL BAT最新PV▼ 「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」/ダンボール・バットfeat. イライザ・ロイヤル(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)   ▼DANBALL BAT最新PV▼ 「シュトラウスは夜に殺せ」/ダンボール・バット(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)  
 










  

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