2015年8月25日火曜日

音頭の彼方にピンクフロイドが立ち昇りニセ松田優作に化けたロッポンギ夏の夜。

 





ブヒヒヒヒ、
と豚のようにいななくのはエリック・ドルフィーのバス・クラリネットの音だろう。このごろは古本屋で平岡正明の著書と見るやろくに中身も見ずに買い求め読み漁っている。その影響でJAZZに手を染め始めたのだがつい3日前に初めて聴いたドルフィーの遺作「OUT TO LUNCH!」の不穏極まりない音塊に驚愕したばかり。ブヒヒヒヒ、と鳴いているのだ。それは虚無僧が闇の中で吹く尺八の音色のようにも聞こえるしその尺八を素手で裂き割り割った尺八の破片が自らの竹油で自然発火しメラメラくすぶっているような音であった。しかし、今朝は豚ではなくセミの甲高いジジジジジジ、という金属音のようなけたたましい声で目が覚めた。ウチのベランダかどっかに張り付いて鳴いていたのだろう。目を覚まされ一瞬腹立たしくも思ったが残りわずかな命、せいぜい頑張って鳴いてください・・・いや、頑張りましょうと言えないのがとても残念です、と三上寛の歌を心の中で唱えセミをねぎらったのであった。夕べは窓をほんの少しだけ開けたまま寝たのだがそこから吹き込んでくる風は涼しいというより最早肌寒いくらいで、つい先日までの猛暑がウソのようだ。
 
そうだよ、夏は終ったのだ。ムーンライダーズの「くれない埠頭」のAメロが頭ん中をリフレイン。いや、夏というよりオレの今年はもう終ったな。ダンボール・バットは、先週末にロッポンギのハコで開催された【音頭ナイト】に出演したわけだが、会場に流されていた無名有名あまたの音頭とともに、オレの夏、オレの今年は終ったのだ。今後のライヴの予定はあいかわらずナシ。冗談じゃなくて、来週あたり「忘年会」をやろうかとバンドのメンバーに打診するも呆れ顔をされた。いくらなんでも夏の終わりに忘年会は早すぎるだろう?まあいい、ただ呑みたいだけなのかもしれない。呑まなきゃ不安で仕方がないのかもしれない。このまえ、バンドのリハの前に一人で立ち寄った歌舞伎町入り口のテレクラや覗き部屋の看板もケバケバしい雑居ビルの1Fにある立ち飲み居酒屋で人生初めて口にした「串あげ」の味が忘れられず、単に串あげがもう一度食いたいがために高円寺の串揚げ屋で飲んだくれたいだけなのかもしれない。恋も串あげも「二度づけ禁止」だよ、くれぐれも。
 
 
ここ数年、毎年この時期に開催しているという「音頭」をテーマにした【音頭ナイト】。主催者でもあるDJの郷さんに誘って頂いき我々ダンボール・バットもライヴをかましてきた、先週の土曜日。ロッポンギの「新世界」というハコはこの日初めて行ったのだがなんとも古めかしい年代ものの作りのハコで上海の裏路地にひっそり佇むミュージックホールかキャバレェかといった雰囲気だった。幽霊でも棲んでるんじゃないかね、ありゃ。オレはあそこに寝泊りしたいくらい気に入ったけどね(笑)。道路挟んで斜め向かいには悪名高きズーヒルの巨大ビルが邪悪なオーラを発散していたがこのハコの周囲だけがその邪悪なオーラを跳ね返しているような感じだった。店内には提灯がぶらさがり、なぜかブルマー姿のロリロリ女子が和太鼓をドンドコ叩いている。郷さんをはじめとするDJ陣が回すレコードは全て音頭オンリーで、中でも、あん?!今回してるの誰?!・・・一瞬、志賀勝か?!と見間違えた(笑)濃ゆい「イイ顔」キャラの珍盤亭娯楽師匠の男気溢れる怪プレー珍パフォーマンスが圧巻だった。そんなDJタイムを挟みつつステージでは「装置メガネ」→「その名はスペィド」→「サロメの唇」→「ダンボール・バット」とライヴが続いた。
 郷さんをはじめ再会するのは数年ぶりのメンツ。なんか同窓会のような気分だった。スペィドのリーダーもいつの間にかたっぷりたくわえたヒゲが真っ白になっててビックリ。儲かっているようだけど苦労もしてんだな(笑)。
 「AMIさん、6年前と全然変わってないですねぇ!!」
 「いやいや、オレも相応に歳取りましたって。え?スタイルいいし?いやいや、常に人前では意識
 して腹引っ込ませてるだけでね、気が緩むとボヨーンと出ちゃう(笑)。」
 装置メガネのサミーもね、「かわいい男の子」とか言って若作りしてるけどね、フケたよ。中年のくせに「男の子」って(笑)。まあいいよ、日本のマーク・アーモンド目指してくれ。

 サロメは大昔に、UFO-CLUBで2、3度対バンしているハズだけど恐くて話しかけられなかった(笑)。ほら、真剣に昭和歌謡を追求しているバンドじゃない?そのストイックな雰囲気がね、ちょっと近づきがたいというか、こっちは昭和歌謡って言ったってパチもん(ニセもん)だからね、なんか気軽に話しかけちゃ迷惑かなって(笑)ヘンに気兼ねしちゃってね。エヘヘヘヘ。
 他の出演者目当てに観に来たお客さんでダンボール・バット観るのはこの日が初めてって人の中にもスゴク気に入ってくれた人が何人かいたみたくてライヴ後にCDを買ってくれた。有難し。この日出店していたカレー屋の店主の兄さん&姉さんにも偉く気に入られ、CD聴いてますよ、と、話が盛り上がる。「NO WAVE」系とかお好きでしょう?と聞かれ、まあ、あの辺は自分のルーツの一つですけどね、ハハハハハ・・・と偉そうに答えるオレ。せっかくだからカレーでもいただこうかと思ったのだが、ほら、オレ肉キライじゃん?だから申し訳なくも今度シーフードか野菜系のカレーをご馳走に伺いますよと詫びた。ココナッツミルクの甘い匂いが旨そうだったけどね。なんでも高円寺に店を出そうかと計画中なのだとか。そうですか。そしたら近所だからしょっちゅう喰いに行けるね。
 
ライヴ後に前出のDJ、娯楽師匠にもサイコーでしたと声をかけられ、なんだか探偵物語の松田優作みたいでしたよと、勿体ないお褒めの言葉を頂戴したのだが、あいにく探偵物語を見たことがない愚生、返事のしようもなく「いやいや、松田優作だなんて・・・」と、ヘラヘラしながら恐縮していた。要するに、カッコ悪いようでいてその実カッコイイ・・・ってことらしいんです。師匠、えろうすんません、今度、観ておきます探偵物語!!
 この日もオレはアロハを着てステージに立ったのだが、アロハ好きらしいお客陣(その人も当然アロハを着ていた)からも声をかけられ、アロハを着ているってだけで信用できると、お墨付き(?)をもらった(笑)。かなりベロベロに酔っ払っておられたが・・・(そういえばサディスティックミカバンドの写真でメンバー全員アロハ着てるやつがなっかったか?)
 よし、今年は冬もアロハでいくか。いや、待て。肝心のライヴの予定がないではないか。あ、そうだったね。
 イヴェント翌日、郷さんからメール。
「LIVEサイコーでした!ダンボール・バットがなんで売れない(失礼!)のか私にはわかりません!」
 いや、やってる本人たちが一番分からない。きっと、やってる人間(オレ)の人間性や音楽性、その他もろもろに欠陥があるんだろう、なにか重大な。
 
 
砂漠のようなここ東京でライヴを続けて二十余年。めったに声をかけられることがなかった。需要がないのだ。必要とされていないのだ。たまに声を掛けられるとしても高いノルマのオマケがくっついていたり場違いなバンドと組まされたりしてなにか釈然としないまま、かと言って他になす術もなく粛々とライヴをこなしてきた。東京で声を掛けられない代わりに地方の方、東京以西(中部、関西圏)の方から声をかけられることがたまにある。こっちでライヴをやってもらえませんか?と。有難いことなのだが、元来が出不精、そのうえツアーに出るカネもなし、さらにバスに酔う(笑)・・・なんとも救いがたい有様。まあ、酔うのは酔い止め薬でも飲めば済むことだが。とにかく、そんなこんなで川崎(もちろん神奈川県の)より西、大宮(もちろん埼玉県の)より北へライヴで出向いたことがない。
 しかし、「東京に必要とされていないバンド」・・・我がダンボール・バットは何処へ行けばよいのか?居場所が見つからないまま、あと2年ほどで結成30年を迎えようとしている。デヴィッド・ギルモアのギターが胸をかきむしる「あなたがここにいてほしい」を聴きながら「わたしがここ(東京)にいたくない」と思う台風接近間近の朝に、ピンクフロイドの音魂がどんよりとした雲の隙間に吸い込まれていく。オレは今、少々センチメンタルだ。

ライヴのオファーお待ちしております。



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「壊れたカセットはAOR」/ダンボール・バット
発売中!(2015.6.25発売)

全14曲(約1時間収録)/1500円+税/
見開き紙ジャケット/歌詞・ライナー付き
作詞作曲・録音・ミックス・プロデュース:AMI
ジャケ画:逆柱いみり
CD帯・推薦文:コモエスタ八重樫

解説:岡村詩野、湯浅学
寄せ書き:
小野瀬雅生(クレイジーケンバンド)、
大田譲(カーネーション)、ホッピー神山
ゲスト・ヴォーカル:
蒼衣スイミング、市場大介(美人画家)、
Miiss Donutfromアメリコ)<敬称略>




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★今夜のBGM★
今夜はミンガス先生にしよう。ケンカっぱやいミンガス先生に共演者はみんなビビッてたって言うじゃありませんか。今夜もワンカップとアタリメと塩らっきょうで大暴れ。オンナ持ってこいやっ!!生ゴミがたんまり詰まったバケツ頭からひっ被って前が見えないのにパンチを繰り出してる盛りの付いたサルみたいなね。夜の公衆便所の落書きみたいなムーディさが、いいねぇ。




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▼今後のイヴェント予定▼

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2013年7月27日発売/全10曲(42分)/¥1200+税/歌詞付/
CD「帯」推薦文:直枝政広(カーネーション)
解説:岡村詩野(音楽評論家)/
ライナー寄書き:蔦木俊二(突然段ボール)、
屑山屑男(「TRASH-UP!!」編集長)
ジャケット写真:AMI/デザイン協力:嶋田真由美(「TRASH-UP!!」デザイン室))


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