2013年12月17日火曜日

飼い慣らされたスヌーピーなど見たくない、と、ドMのチャーリー・ブラウンと杯を交わした夜。


 さて、世の中「ハロー!キティ」ブームである。どこへ行ってもどの店に入っても必ずキティをあしらったナニかしらの商品と遭遇する。もうオレたちはあのカネの亡者と化した白い“化け猫”から逃げられない。先日、近所のスーパーで不二屋のペコちゃんとキティがコラボして合体した半獣神のような突然変異キャラが箱に描かれた限定販売だかの「ミルキー」を発見。うへぇっ!まさにここまでくると世も末というかいい加減辟易であるが、TV-CMからミスター・ドーナツからタワレコからなんやかんやと引っ張りダコの最近の「スヌーピー」ブームにも少々食傷気味である。しかも昨今世にはびこるスヌーピーは「虚像」のスヌーピーである。少なくともオレの中では。いや、実はオレもイイ歳こいてなにを隠そうスヌーピーが好きなのである。プププププ・・・。でもオレが好きなスヌーピーはTV-CMなんかでチャーリー・ブラウンの横に寄り添いニコニコしているだけの人畜無害なフレンドリーでピースフルでラヴリーなスヌーピーではないのだ。オレからすればあれらはインチキで偽善のデッチあげられたスヌーピーに他ならない。オレが好きなのは“ブラック”なスヌーピーだ。
オレがスヌーピーを好きになったのはほんの2年ほど前だったか?たまたまケーブルでアニメを専門に垂れ流している(海外のアニメが多い)「カトゥーン・ネットワーク」というチャンネルを観ていた時、チャンネルを変えようと思ったのだがなんとなくそのままボケーっと観てしまい、そしたら「スヌーピー」が始まったのだ。たしか子供の頃に「谷啓」だか「なべおさみ」だかがチャーリー・ブラウンの吹き替えをやっていたヴァージョンを観たようなかすかな記憶があるが、それよりなによりスヌーピー自体に別段興味がなかった。が、ボケーっとしていうるちに始まったそのスヌーピーはオレに若干の衝撃と奇妙というかなんとも珍妙極まりない印象を与え、気がつけばオレは耳を澄ましTV画面に見入っていたのだ。吹き替えがヘンなのである。アニメの吹き替えとして有り得ないというかこんな吹き替えの「レベル」で放送していいのか?と、観ているこっちが不安になるようなシロモノだった。アニメのキャラとほぼ同年代とおぼしきロレツも怪しげな子供らが吹き替えをやっているのだが、どうにもこうにもセリフが棒読みなのだ。それもどうやればここまで無感情に読めるのかってぐらい徹底した棒読みっぷりはある意味破壊的ですらあり清清しくもあり見始めの頃に感じた違和感も次第に薄れてゆき、しまいには感動のようなものすら覚えるようになっていった。てっきりズブの素人のガキが吹き替えをやっているのかと思ったのだがエンデイングのクレジットを観るとナントカ児童劇団(?・・・名前は忘れた)とのクレジットが出たので、ひえっ~!!このレベルで「劇団」かよ・・・と、更に衝撃を受けたものである。案の定、良識あるスヌーピー・ファンから酷評され、いくつか存在する吹き替えシリーズの中でも“無かったこと”にされている(笑)シリーズらしいのだが、その後、プロ(大人)の声優が吹き替えしたヴァージョンとか観てもわざとらしさばかりが鼻についてオレは全然楽しめなかったのを覚えている。あのズブの素人のような子供らの鉄壁の棒読みが逆に作品自体の奥行きと深みを浮き上がらせているような気がしてならない。
さらに驚いたのが、各キャラクターがしゃべる、まるでいっちょまえの映画のような名ゼリフの数々。はっきり言って小学生以下のガキが観てもチンプンカンプンだろうなという難解な言い回しや固有名詞やアメリカン・ジョークが次々に出てくる。しかも、結構なブラックなジョークも頻繁に。なんじゃ、こりゃ!?・・・と、それまで抱いていたスヌーピー=ガキの手慰みマンガという図式がオレの中でゆっくり崩れ始めたのである。
そして、主人公のチャーリー・ブラウンといえば周りからいつもこっぴどい目に合わされているのだ。ほとんどイジメというか虐待に近く普通なら自殺に追い込まれてもおかしくないような状況にも関わらず本人は生まれ付いての“ドM”なのかさしてこたえていなのも凄い。で、真打、スヌーピーはと言えば、徹底して腹黒くお調子者のズルがしっこい奴として描かれている(時にマヌケだが)。果たしてそれはこのシリーズだけでの特別なキャラ設定なのか、単にオレの目だけにそう映るのかは分からないが、ここでの“ブラック”なスヌーピーを見ている限り(いや、スヌーピーに限らず周りの登場人物たちも相当のブラックだ!・・・)昨今世間に溢れる可愛いさだけを売りにしたようなスヌーピーはオレに言わせれば虚像のスヌーピーにしか見えないのである。オレの中ではスヌーピー=どうしよーもねぇー奴(犬)。どうしよーもねぇーんだけど、どこかやっぱり憎めないところがあって、最後は、まあ、しゃーねぇーなーぁ・・・で毎回一件落着。そういうキャラ。
ところが後で知ったのだが、原作のスヌーピーはもちろんしゃべりはしないものの自分が思っていることがセリフ形式になって「噴出し」になって書かれているってこと。それに対しアニメ版ではスヌーピーの思っていることは一切表示されず語られもせず身振り手振りだけで表現される。スヌーピーがへんに発言したりして作者の思想をこちらに押し付けてこないことによって作品全体が常にクールに保たれているような気がするし、また、そういうスタンスが好きなのだが、どうも原作は違うらしく、作者が相当いろいろとスヌーピーに「言わせちゃってる」みたいで、そういうのはオレ好みじゃない。で、「スヌーピー 名言」なんてキーワードをぶっこんで検索するとキモチ悪いサイトがいっぱい引っ掛かってくる。いわゆるスヌーピー(やら、チャーリー・ブラウン)が吐いたとされる名言集とやらを紹介するおせっかいなサイトが。たとえば、こんなの・・・

「スヌーピーの名言をご紹介。悩んでいるとき、泣きたいとき、くじけそうなときに、自分を奮い立たせてくれる、勇気をくれる名言集です」。

「心に響く<恋愛・失恋>の名言を集めた総合サイトです。スヌーピーの名言をご紹介します。」

「人生観が変わるかも?世界一有名なビーグル犬。可愛いだけだと思ったら大間違い。意外に深い言葉の数々。」

・・・などなど。どこぞの新興宗教かと見まごう薄気味悪さ。すっかり自己啓発にスヌーピーが利用されちゃってますよ。世界一有名なビーグルもつらいね、ワンワン!!いやいや、こんなスヌーピーはオレはいやだね。でも、これが原作者の「意図」したことなんだろう、多分。そういうのはオレの好みじゃないってさっきも書いたが、だからオレはスヌーピーの原作者にも全く興味ないし、その誕生秘話やら、歴史やら、キャラの変遷等々にも一切興味なし。森ビルだかでやってるスヌーピー展にももちろん行く気なし(しかも入場料2000円はボッタクリ!!)。オレが好きなスヌーピーはタダ一つ。素人同然のガキが棒読みしてる吹き替え版のブラック過ぎるスヌーピー!!・・・だ。オレはそのヴァージョンがカトゥーン・ネットワークで再放送されるたび観られる限り毎回観ている。何度観ても面白い。当然DVDにもなっていないし、永遠にDVD化されないような気がする。オレは好きが高じて番組中バックで流れている「サントラ」までを必死こいて探し回って買ったのだ(これがなかなか素朴なジャズ・アルバム!)。
「このマヌケ犬!」・・・というルーシーが毎回スヌーピーに浴びせる捨てゼリフが好きだ。そして腹黒いスヌーピーがオレは好きだし、ニコニコしてるだけの飼い慣らされたフヌケなスヌーピーなど見たくはない。あの保険会社のCMを見るたびゾッとする。




ハイ、というわけで予定外のオレのスヌーピー論(?)、どうも失礼しました。さて、明日はいよいよ高円寺「円盤」にてオレのトークショー&ミニライヴだっつうのにお天気下り坂!!「雨男」の本領発揮!!まあ、それでも来てくださる方のためにもせいぜい面白いイヴェントにします。是非!!詳細下記!!当日券のみ!!


★「今夜のBGM」は下記イヴェント情報の下です。


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次回トークショー情報!!
12月18日(水)@高円寺CDショップ「円盤」
http://enban.web.fc2.com/
【今夜は御意見無用~第2回~】
結成26周年を誇る流浪の無国籍ROCKバンド「ダンボール・バット」のリーダーAMIと、日本のトラッシュ・カルチャーをリードする雑誌「TRASH-UP!!」編集長の屑山屑男の両盟友による、主に70年代~80年代にかけての時代のすき間に埋もれたロック、ニューウェイヴ、歌謡曲などのニッチな裏名盤レコード鑑賞と、噛み合わぬトークで御意見無用の一夜を。また、AMIの闇のソロユニット「ネオン警察」の即興ミニライヴもご用意でさらに御意見無用!!

★出演:AMI(ダンボール・バット/ネオン警察)、屑山屑男(雑誌「TRASH-UP!!」編集長)、MARI(ネオン警察ピアノ担当 from BLACK&BLUE)

★PM7:30OPEN / PM8:00START PM10:00END
★当日券のみ 1DRINK付き¥1500


次回「ダンボール・バット」ライヴ情報

1月18日(土)@東高円寺「UFO-CLUB」
http://www.ufoclub.jp/
雑誌「TRASH-UP!!」&ダンボール・バット共同企画
【ニューウェイヴ天下御免VOL.6】
UFO-CLUB開店18周年記念スペシャル!!
※DJ:屑山屑男(TRASH-UP!!編集長)

※出演:
ダンボール・バット、ヰタ・セクスアリ、他予定
出演者決まり次第順次更新します

PM18:30 OPEN /PM19:00 DJ START /PM19:20 BAND LIVE START
PM10:30 END
前売¥2000 当日¥2300 +それぞれ要DRINK代¥500


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★今夜のBGM★
ここはアカプルコのホテル最上階バー・ラウンジか?と思わせる酔いがある。JBLの高級木目調スピーカーも今夜はアーバンに男泣き。問わず語りの野郎同士の友情とワキ毛が匂い立つ濃密フェロモンとがきらびやかなオーケストラ・ヒットを打ち鳴らし軽やかなドラムマシーンのビートを駆動させ涼しげなエレクトリックピアノを転がせる。今夜一晩この身も心も預けてもいいかな、と、女でなくとも男も惚れるそのニヒルな横顔は、かの<幻の名盤開放同盟>が「夜のワーグナー」と命名した異能の作詞作曲家、藤本卓也センセイです。ここでは自慢のノドも披露していらっしゃいます。
♪相棒Part3~人生グルメ/藤本卓也(’96年)


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【お知らせ】
ダンボール・バットでは女性キーボード奏者急募中(サポートOK)!
お気軽にお問い合わせください。
こちらから▼
http://www.formzu.net/fgen.ex?ID=P39590588


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▼リーダーAMIのソロユニット「ネオン警察」1stCD「空間の犯罪」発売告知PV
▼アマゾン
http://www.amazon.co.jp/dp/B00DBEFLVK/
▼ディスクユニオン
ttp://diskunion.net/portal/ct/detail/IND12849

2013年7月27日発売/全10曲(42分)/¥1200+税/歌詞付/
CD「帯」推薦文:直枝政広(カーネーション)
解説:岡村詩野(音楽評論家)/
ライナー寄書き:蔦木俊二(突然段ボール)、
屑山屑男(「TRASH-UP!!」編集長)
ジャケット写真:AMI/デザイン協力:嶋田真由美(「TRASH-UP!!」デザイン室))






◆ダンボール・バットでは、イヴェントへの出演依頼随時募集中。お問い合わせはこちらから
◆ダンボール・バット公式サイト
http://danballbat.cside.com/


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▼ダンボール・バットNEW ALBUM告知CM
 
▲『馬鹿ヌーヴェルヴァーグ』  ▲品番:TSR69002/発売:東京産業レコード ▲2012年1月31日発売▲全11曲(約42分)収録 ▲録音・ミックス・プロデュース・作詞作曲:AMI▲W見開き紙ジャケ仕様/歌詞カード付▲CD帯コピー文:ROLLY(ローリー) ▲ジャケット写真&デザイン:常盤響▲ライナー:岡村詩野&湯浅学 ▲寄書き:白井良明(ムーンライダーズ)&サミー前田▲ゲスト・シンガー:ジョン<犬>&イライザ・ロイヤル(エコダムド/ex穴奴隷) ▲サポート・コーラス:MARI(BLACK&BLUE) <以上・敬称略> ▲収録曲 「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」「ファッション革命」「滿民の敵」「シュトラウスは夜に殺せ」「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」「狩人だから」、他全11曲 ▼下記各オンラインショップにて販売中! [AMAZON][TOWER RECORDS][DISK UNION][楽天ブックス] ※ディスク・ユニオン(インディーズ・コーナー)、タワーレコード新宿店、タコシェ(中野ブロードウェイ内)等の店頭でも販売中。  ----------------------------------------------------------------------------------  ■「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」全曲高音質ダウンロード販売開始!特集記事も読めます。こちらから!(提供:OTOTOY) http://ototoy.jp/feature/index.php/20120326  --------------------------------------------------------------------
▼DANBALL BAT最新PV▼   「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」/ダンボール・バット(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)    ▼DANBALL BAT最新PV▼  「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」/ダンボール・バットfeat. イライザ・ロイヤル(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)    ▼DANBALL BAT最新PV▼ 「シュトラウスは夜に殺せ」/ダンボール・バット(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)  
 
  

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