2014年4月29日火曜日

クラフトワーク「放射能」も飛び出すアウェイなライヴは、まさに死刑台のエレベーターと化した夜。


  ここんところ、家で「死刑台のエレベーター」のサントラばっかり聴いている。マイルス・デイヴィスの。「死刑台のエレベーター」聴きながら放心状態、心ここにあらず。煙草のケムリかなんかのようにオレの体全体が白いモヤモヤになって部屋の四隅に霧散する。空虚に時間だけが流れてゆく。ぐったりして何もやる気が起こらない。やるべきことは山積みなのに。いわゆる「五月病」か?イイ歳こいてそんな単純な病になるハズはない。朝電車に乗るといかにも初々しい新入社員がわんさか乗ってくる。一体あいつらのうちの何パーセントの人間がノイローゼになって抗ウツ薬に手を出し出世レースから脱落してゆくのだろう。嗚呼ご愁傷様。しかし、そんな他人のことはどうでもいい。問題はオレ自身の病のほうだ。オレの病の根はもっと奥深いところにあるのだ。確実に死期が近づいている気がしてならない。
いわゆる往年の名画といわれているものほど積極的に観ようという気がおこらないものだけれど、先日、夜中にボケーっとしてTVつけたら、たまたまかの「死刑台の・・・」をやっていて、これがなかなか雰囲気のある映画で、初めてだったのだがついつい観てしまったのだ。その「雰囲気」を作り出している最大の原因はもちろんスタイリッシュな白黒の映像のせいもあるのだろうが、映像と付かず離れずバックに絶えず漂うように流れているマイルス・デイヴィスによる渋いサウンドトラックに拠るところが大きいのだと気が付いた。で、すぐにもそのサントラが欲しくなり、さっそく入手したというわけ。いつか機会があれば映画のほうもきちんと最初から観てみたいと思う。それにしてもヤバイね、このサントラ。真夜中にエンドレスで聴いていたら、シラフのまま、人の2,3人も殺したくなるってもんだ。お気をつけあそばせ、マダム。

さて、つい先日、オレがダンボール・バットと並行して活動している“闇”のソロユニット「ネオン警察」のライヴがあった(▲写真提供:小宮氏)。以前から一度出てみたと思っていた神保町にある「試聴室」というハコで。たまたま古い知人が現在そのハコの運営に関わっているという話を聞いたので、その知人に頼み込んだところ、「今度、ボクが企画するイヴェントがあるんで良かったら出ませんか?」と誘いを受けたので、これはいい機会とばかりに二つ返事でOKしたのだった。その知人が始めたという「なりすレコード」というレーベルから今度CDをリリースする女子二人を中心とした「恋のパイナップル」というグループのレコ発イヴェントだった。同じレーベルから既にCDを発売したばかりの「滝沢朋恵」というソロの女の子も出演した。
どちらのアーチストもオレは全く知識がなかったので、一応事前にと、その二組について動画などをチェックして下調べをしたのだが、どう考えてもその二組と我々「ネオン警察」との「接点」がまるで見当たらないのだ。水と油なのだ。澄んだ海水とヘドロで汚濁した下水ほどの差があるのだ(「下水」は当然我々)。どう考えてもその知人が昔のよしみで無理矢理我々をこの日のイヴェントに入れてくれたとしか考えられなかったのだが、せっかくの好意、有難くやらせてもらおうと思った。どうせ出番はトップ・バッターだろうから、迷惑にならぬようとっととやってそそくさと帰って来ようと思っていたのだ。が、なんと出番は2番目!!ウヘっ!!清楚でストイックなギターの弾き語りの滝沢朋恵ちゃんと、フワフワしたポップな楽曲を聴かせる恋のパイナップルの2組の間に挟まれたまるで毒マンジュウの如く我々「ネオン警察」は、彼女ら2組を目当てに来た大勢のお客さん・・・大半がライヴハウスなどには縁のなさそうなフツーの人たち・・・の、光栄にも好奇と奇異の目に曝されるハメになったのだ。まさに「アウェー」な状況に絶体絶命。
ここでYAHOOの智恵袋などで「アウェー」の意味などを調べてみると・・・・サッカーなどの球技で、相手の本拠地で戦うこと。転じて「孤立してる」とか「周りに味方がいない」とかゆう時に使われる。或いは「場違い」。・・・・・なるほど。音楽活動を長年続けていると、アウェーなイヴェントに呼ばれることは過去には何度もあったが、今回は久々に極度のアウェーだった。以前のオレなら「ひるんで」いたかもしれない。しかし、そんなことぐらいでひるんでいたら芸歴二十ウン年の“場末ロッカー”の名が廃る。ひるんだら負けだ。アウェーだからこそ、やらねばならないのだ。こういう場を数多く踏んでこそシンガーたるもの成長するものではないのか?と、独りブツブツつぶやきながらも覚悟を決め、ポケットウイスキーをぐいっと一口煽り、ステージへと出て行った。
恐らく、この日会場に集まったお客さんの99パーセントは「ネオン警察」が奏でるようなドロ沼のような音楽には普段接したことがないような人たちばかりとお見受けした。それは、パリかなんかの一流ホテルのディナショーの舞台の上で素っ裸で河内音頭を喉から血を流しながら歌うような状況にも例えられよう。まさに「場違い」。案の定、曲間に拍手は来るものの、ヒンヤリとした会場の空気が肌に痛い(笑)。どんどんお客さんが引いていくのが分かる。まるで潮がサァーっと退いてゆくように。曲間のMCでオレの言う冗談に唯一ウケていたのは最前列で見ていたウチのバンドのメンバーだけだった。が、オレはもう開き直っていた。そっちが引いてゆくのならこっちはどんどん押しまくるだけだ、と言わんばかりに攻めていった。不快に思われているかもしれない。いや、むしろ不快に思われるほうが光栄だった、オレにとっては!!(わが師、岡本太郎が、展覧会で自分の描いた絵を見た客達が口々に「不快な絵だ」、と、話している光景に出くわし逆に意気揚々とした・・・という逸話を思い出した・・・)
そして、この日は、ネオン警察始まって以来初のグランドピアノを使用してのステージだった。オレの相方でもあるピアノ担当のMARIもグランドピアノということでいつになく気合が入っていた。衣裳も、彼女が普段ソロでやっている「BALCK&BLUE」のステージ衣裳・・・全身黒尽くめの梶芽衣子といった印象・・・でキメていた。しかも終始“裸足”(!)でピアノと格闘していた。オレは風俗の呼び込みみたいな蝶ネクタイ姿で腕には「毛沢東」(!)の赤い腕章で、「放射能です!!」(クラフトワーク「放射能」の日本語カバー)とか「ドイツ人のように!!」とか声を朗々と張り上げながら時にSAXを吹き鳴らし時にテルミンで電子ノイズを発生させ汗を飛び散らせながら魔の約30分間のステージを全うして退場した。
その後、この日のメインアクトの「恋パナ」のステージが始まり、まるで直前の我々のステージは無かったかのように、歴史の一部から完全に抹殺されたかのように盛大な盛り上がりをみせていたことは言うまでもない。いや、それでいいのだ。ありがとう。全宇宙に感謝。

 美しい花や蝶や鳥や昼間の青い空。しかし、ほんとうにそれらだけで世界は成り立つのだろうか?排ガスにまみれた道路わきの雑草やドクダミやダンゴムシやゲジゲジやヨッパライの吐いた消化されていないラーメンの麺をついばむカラスやそういう存在があって初めてこの世は成り立っているのではないか?皆から忌み嫌われる存在があってこそ美しいものらは引き立ち一層華やぐ存在となるのではないか?夜の闇を知ってこそ、昼間の青い空が愛おしくなるのではないか?オレは一介の雑草やゲジゲジでかまわない。そう心に思った神保町の花冷えの夜。

追伸:なりすレコードの平澤さん、共演者の方々、ありがとうございました。勉強になりました。








★今夜のBGM
映画音楽界の巨匠、モーリス・ジャール(「アラビアのロレンス」とか)の息子はフランスのTK小室だった。ボンボンやから高そうな機材いっぱい持ってはったんでしょうな。PVにもフェアライトが登場しますが、その割には単純な構造のヒネリなしのベタなシンセミュージックで、フランス人なんだからもうちょっと人生の悲哀とか哀歓とかをメロディに織り込んでもよさそうなもんですが、まあ、無難な万人受けで当時はピエール・カルダンのファッションショーなんかでも流されていたとかいないとか。ユリ・ゲラーっぽい風貌で磁力の世界を行ったり来たり。NHKの小学校3年生の理科のTVのBGM御用達。
「磁界 パート2」/ ジャン・ミシェル・ジャール(’81)




▼今後のイヴェント色々決まってます。

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5月5日(月・祝)
「ダンボール・バット」ライヴ
@渋谷「ラストワルツ」!
http://lastwaltz.info/
「東京電極VOL.19」
※テクノ、ニューウェイヴ系の同店の人気イヴェント!!

PM4:00 OPEN / 開演PM5:30(DJ START PM5:00)
共演:(出演順に)
①谷口マルタ(from プノンペンモデル)ユニット
②さゆキャンディ
③レンダ(無国籍ゴス・ユニット)
④ダンボール・バット※PM8:00~
ASTRO-B(ex サイバー・ニュウニュウ)

ご予約¥2000(別途D代500円要)


お問い合わせは▼こちらのフォームから
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2013年7月27日発売/全10曲(42分)/¥1200+税/歌詞付/
CD「帯」推薦文:直枝政広(カーネーション)
解説:岡村詩野(音楽評論家)/
ライナー寄書き:蔦木俊二(突然段ボール)、
屑山屑男(「TRASH-UP!!」編集長)
ジャケット写真:AMI/デザイン協力:嶋田真由美(「TRASH-UP!!」デザイン室))


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▲『馬鹿ヌーヴェルヴァーグ』  ▲品番:TSR69002/発売:東京産業レコード ▲2012年1月31日発売▲全11曲(約42分)収録 ▲録音・ミックス・プロデュース・作詞作曲:AMI▲W見開き紙ジャケ仕様/歌詞カード付▲CD帯コピー文:ROLLY(ローリー) ▲ジャケット写真&デザイン:常盤響▲ライナー:岡村詩野&湯浅学 ▲寄書き:白井良明(ムーンライダーズ)&サミー前田▲ゲスト・シンガー:ジョン<犬>&イライザ・ロイヤル(エコダムド/ex穴奴隷) ▲サポート・コーラス:MARI(BLACK&BLUE) <以上・敬称略> ▲収録曲 「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」「ファッション革命」「滿民の敵」「シュトラウスは夜に殺せ」「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」「狩人だから」、他全11曲 ▼下記各オンラインショップにて販売中! [AMAZON][TOWER RECORDS][DISK UNION][楽天ブックス]  ※ディスク・ユニオン(インディーズ・コーナー)、タワーレコード新宿店、タコシェ(中野ブロードウェイ内)等の店頭でも販売中。 ---------------------------------------------------------------------------------- ■「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」全曲高音質ダウンロード販売開始!特集記事も読めます。こちらから!(提供:OTOTOY) http://ototoy.jp/feature/index.php/20120326    --------------------------------------------------------------------
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